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役を交換したことの意味 『最強のふたり』を観る

 今年の浦井健治、今までにも増して忙しい。5月1日(金)マチネ、ヒューリックホール東京。
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 ミュージカル『最強のふたり』

 原作映画「最強のふたり」
   監督・脚本/エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
 脚本・作詞・演出/板垣恭一
 作曲・編曲・音楽監督/桑原あい
 出演 川平慈英 浦井健治 紅ゆずる 宮原浩暢 小野塚勇人
   福田えり 加賀谷真聡 宮野怜雄奈 元榮菜摘 菊池愛
  





 実は原作映画を観ていない。のだが、話はなんとなく知っていて、「ふたり」の年齢を逆にするという発想には惹かれた。それと、演出の板垣恭一は、私にとっての浦井伝説作品『シャーロック・ホームズ〜アンダーソン家の秘密〜』を演出した人なので、かなり期待して観に行った。

 
 事故により首から下が麻痺して車椅子生活を送る大富豪フィリップ(浦井健治)。その介護があまりに厳格で過酷なので、介護人は長くもたずに皆、辞めてしまう。そして新しい介護人に応募してきたのは、介護の経験も学歴もない、刑務所あがりのドリス(川平慈英)だった。秘書イヴォンヌ(紅ゆずる)をはじめとして邸の使用人たちはドリスの面接の受け答えに呆れるのだが、フィリップはドリスが気になり、試験採用する。
 失業保険のためだけに面接に来て、介護に全く興味のないドリスの行動は、常識はずれで自由といえば自由なのだが、誰に対しても公平に対する態度に、逆にフィリップの心は開かれていき、周囲の心配をよそにドリスは正式採用される。
 毎日一緒にいるようになったフィリップとドリスは次第に、それぞれの持つ家族の悩みや孤独を分かち合うようになっていく。
 
 という物語。
 映画では、フィリップの方が老境に差し掛かった中年男性で、ドリスは礼儀をわきまえない若者という設定。それを川平慈英と浦井健治のために設定を逆にしていて、お話としては功を奏してた。

 車椅子から動かない浦井健治ってどうなのかしら、と思っていたけど、首しか動かせなくても細かな表情でフィリップの気持ちの揺れを表現していたし、座ったままの姿勢での歌は完璧だったし、電動車椅子の操作も完璧。趣味の良いジャケットとスカーフの衣装もすごく似合っていて素敵だった。これまでの舞台で、浦井健治のスーツ(ジャケットを含む)姿って、サイズ大きめのぶかっとしたのを着てることが多くて、役にも合ってないしかっこよくないよ、と思うことがよくあったんだけど、今回のフィリップの衣装は役にピッタリの品の良さで、サイズもピッタリで(てかそれ当たり前なんだけど)、ノーブルで似合ってて、とても良かった。眼福。
 一方の川平慈英のドリスも、人はいいのにダメおやじな感じを醸し出してて、リアリティがあった。この人なら、フィリップが心を開いていくのがわかる、心の底の温かみを感じられる(ドリスが、というより川平慈英そのものなのかも)。
 歌も、歌詞と作曲が日本人なので、歌詞が自然に耳に入ってくる。
 ふたりがパラグライダーで飛ぶ時の歌、身も心も開放されて(唯一、フィリップが立ち上がって歌う、想像上の自由なシーン)、気持ちよかった。
 
 ただ、主役のふたり以外の役の設定(と演出)が、典型の域を越えてこないのが惜しいの。眼鏡をかけてスーツにヒールのツンデレ秘書は典型すぎる上にデフォルメしすぎだし、金持ちなのを鼻にかけてるフィリップのいとこアントニーも大雑把な造形だし、ドリスの息子やフィリップの養女のぐれ方もよくあるという以上のリアリティがないし。
 フィリップの養女の話や、秘書とアントニーの恋バナのような脇筋はあんまり必要なかった気がする。それよりも、フィリップとドリスが互いを認め合うまでの葛藤をもっと丁寧に見たかったなぁ。互いの壁が、簡単に崩れすぎな感ある。
 
 ヒューリックホールは舞台用の劇場ではなく、舞台の奥行きが狭い。たぶん舞台袖も、無い。なので、セットはフィックスで、転換はできない。袖が無くピットも無いので、セットを2階建てにしてバンドの場所を作り、残りの狭い場所に何か作るのはもう無理…といった感じだった。セットに関してはあまりにも工夫の余地がなくて、ちょっと気の毒だった。舞台用の劇場でやれてたら、パラグライダーのシーンにダンスやプロジェクションマッピングを入れるとかもできたのにね。

 再演があるかどうかはわからないけど、面白い要素が揃ってる題材なので、色々軌道修正したものをまた観てみたいな、と思った。主役のふたりの組み合わせは最強だから。

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コメント

そうなんですよね、、
少ない人数でいろいろな役をされていて
それはそれで凄いな〜とは思いましたが
ちょっといろいろ盛り込み過ぎた感じはあって、、
他のエピソードを減らしても
主役の二人をもう少し深掘りして欲しかったなーと思いました。
浦井くんは車椅子のちょっとした
さもない動きがとても丁寧でリアリティがありました。
再演のメイビーのロボット役がさらに楽しみになりました。

ホワイトさま。
確かに、この車椅子の動きは、いずれメイビーの時、役立ちそうですね!
浦井くんの動きはとてもよかったんで、盛り込みすぎの話を少し整理して再演になれば、と思います。

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