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本多一夫と下北沢、と私

 こんな本を読んだ。

『「演劇の街」をつくった男 本多一夫と下北沢』(発行 ぴあ)
  本多一夫[語り] 徳永京子[著]


 本多劇場やスズナリを作り、下北沢を演劇の街にしてしまった、本多一夫の一代記。
 前半は本多一夫自身の回顧で、後半は本多劇場で芝居を作ってきた野田秀樹や加藤健一、ケラリーノ・サンドロヴィッチなどのインタビューで構成されている。インタビュアーは徳永京子。
 面白い。
 
 マダムが芝居に惹かれて、ガンガン見始めたのは80年代。スズナリや本多劇場と一緒に歩んできたといっても過言ではない。本多劇場が出来たときのことを憶えているし、こけら落としの公演にも行ったの。
 マダムの中では、下北沢は最初から芝居の街だったような気がしていたんだけど、この本を読むと、そうじゃなかったのね。本多一夫っていう人の、ひとりの熱意から出来上がっていった、ちょっと奇跡のような道程があったの。読んで、しばし感慨にふけるマダム。下北沢が演劇の街になっていく過程に、マダムも観客としてしっかり関与していたのだわ・・・。
 本多一夫という人のダイナミックな人生も魅力的だけど、マダムが特に興味を惹かれたのは、各演劇人たちのインタビューの方。
 野田秀樹、加藤健一、柄本明、宮藤官九郎などが異口同音に言う、使う側からの「本多劇場の魅力」。劇場の大きさ、舞台の幅や高さや奥行きの絶妙さ。たっぷりした袖の使いやすさ。傾斜がしっかり取られていて観客の視線がかぶることがない客席。演劇専門に作られているので、声の通りが絶妙…などなど。演劇人にとっても、本多劇場は特別な愛着を持てる劇場らしい。
 読み進めるうちに、足繁く通った頃のことがどんどん思い出され、刺激的だった。
 

 
 そこで、調べてみた! マダムは生涯に何回、本多劇場に通ったのか。
 ありったけの古い手帳を掘り出して、調べた、マダムと本多劇場(+スズナリ)の軌跡。( )内は劇団または主催名。いろいろ不明な点があるんだけどね。
 
1983年1月  イカルガの祭り(自由劇場)    本多劇場こけら落とし第3弾
1983年2月  寿歌(加藤健一事務所)      本多劇場
1983年7月  シェルター(加藤健一事務所)   本多劇場

1983年10月  店長さんのアックスボンバー(東京乾電池)    本多劇場

1983年11月  ジュリアス・シーザー(シェイクスピアシアター) 本多劇場

1983年12月  十二夜(シェイクスピアシアター) 本多劇場

1984年1月  クスコ(自由劇場)        本多劇場


 劇場がメモしてない!1984年・・・。
 
1984年9月  最後の淋しい猫(不明)      本多劇場
1984年11月  から騒ぎ(シェイクスピアシアター)本多劇場

 もっとメモしてない!1985年・・・。
 東京乾電池はよく見てたし、ジャンジャンかスズナリだったはずなんだけど、メモしてないので、不明。

1986年1月  宇宙蒸発(夢の遊眠社)      本多劇場
1986年5月  審判(加藤健一事務所)      本多劇場
        夜の子供(ブリキの自発団)    スズナリ
1986年9月  小指の思い出(夢の遊眠社)    本多劇場
1986年10月  お茶と説教(東京乾電池)     本多劇場

        ↑岩松了の初、作・演出作品
1986年12月  ???(ワハハ本舗)       スズナリ
1987年1月  やさしい犬(不明)        本多劇場

1987年7月  ザ・営業(ワハハ本舗)      駅前劇場
1987年10月  ???(東京乾電池)       本多劇場
1987年11月  セイムタイムネクストイヤー(加藤健一事務所) 本多劇場
 
 芝居の本数が激減!1988年〜。メモする暇もなかったかも。映画を見なければならなくなり、芝居が観られなかった。その後、子育て生活に突入し、下北沢だけじゃなく、どの劇場にも行かなくなった。てか、外出もままならなくなった・・・。
 今世紀に入った頃から、ぽつりぽつりと劇場に行き始めたけど、本格的に復帰したのは、このブログを始めてから。つまり2008年以降。
 復帰して通ったのが、主にシアターコクーンとさいたま芸術劇場と世田谷パブリックシアターであったので、本多劇場に帰還したのはなんと、2010年だった。

2010年9月   木の皿(加藤健一事務所)      本多劇場
2010年11月  風間杜夫一人芝居 五部作一挙上演  本多劇場 
2011年10月  詩人の恋(加藤健一事務所)     本多劇場
2012年3月   ザ・シェルター&寿歌(加藤健一事務所)  本多劇場
2012年11月  バカのカベ(加藤健一事務所)    本多劇場
2015年2月    ペリクリーズ(加藤健一事務所)   本多劇場
2015年4月    バカのカベ再演(加藤健一事務所)  本多劇場
2016年3月    家庭内失踪(M&OPlays)      本多劇場

2016年8月    ハリウッドでシェイクスピアを(加藤健一事務所) 本多劇場

2018年3月    ドレッサー(加藤健一事務所)    本多劇場

2018年3月    毒おんな(椿組)          スズナリ

2018年6月    市ケ尾の坂(M&O Plays)      本多劇場
 

 本によれば、本多劇場で一番上演回数が多いのは、ケラリーノ・サンドロヴィッチで、二番目が加藤健一事務所なのだそう。なるほど、加藤健一は、本多劇場設立以来、ずっと場所を変えずに今に至っているんだね。
 マダムが本多劇場で印象に残っている芝居は、こけら落としの「イカルガの祭り」。斎藤憐の作・演出だったと思う。中大兄皇子あたりが主人公の芝居で、すごく面白かった。斎藤憐の戯曲、もっと上演されてもいいのではないかな。
 岩松了が初めて東京乾電池で作・演出した「お茶と説教」も、恐ろしく冷え切った客席の雰囲気が脳裏に刻まれている。
 あともうひとつ忘れられないのは、風間杜夫一人芝居五部作一挙上演ね。6時間も本多劇場にいて疲れなかった。あれも本多劇場ならではの経験だったわ。
 ひとつひとつ言い出したらきりがない思い出。
 
 今年もまた、本多劇場に行く機会があるかしら?
 今、チケット奪取を画策しているものが取れれば、この春早々にも行くことになるので、またお世話になります。
 歴史は続く。

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コメント

おお、貴重な記録ですね。

私は「物を取っとかない主義」なので、過去の手帳など残ってもいず、
どれだけシモキタに通ったか?は謎であります。
でも、一時は代沢に住んでいたので「庭」であった時代もあったのです。
とりあえず、夢の遊眠社は全部観てる。
カトケン事務所は、観たり観なかったり。加えて、ケラさんはけっこう
観ている気がします。最近、あまり観てないけど。
そのほか、3軒茶屋婦人会とか、第三舞台とか?
スズナリもけっこう行ってますね。
あの急な階段を登って。
建物の古さが目立って来たので、今後、どうなるのかな〜と
いつも思っています。

マダム様、大変ご無沙汰しております。
が、ブログはいつも読ませて頂いておりますよ。

マダムの観劇幅の広さと博識には常に敬意を感じております。私はほぼ決まった役者さんや劇団メインの観劇で、あまり間口が広がらないので…。商業演劇や売れ筋の方の舞台は最初からチケット争奪戦を戦わずして降りてしまっているのです。

今回のブログであーこれ観たかった舞台だ、とか懐かしく思い出されながら拝見していたらとても懐かしいタイトルが‼︎87年の「やさしい犬」です。私も観ました、懐かしい‼︎
当時、大好きだった三上博史さんの「ビリィザキッドの新しい夜明け」という映画繋がりで観に行ったのですが、とにかく難解で、砂丘とキューサーという2つの言葉がキーになっていたのですがあらすじなどは全く記憶にありません。
出演は三上博史、峰岸徹、塩野谷正幸、流山児祥事務所の作品でした。
三上博史、塩野谷正幸両氏はポールシュレーダーのMisimaにも出演されてましたね。ビリィザキッドはビデオもDVDも購入して今でもよく観ております、とにかくいろんな方が出てらしてそれを見るだけでも楽しい映画ですが(細川俊之さんの「アメリカン」のシーン最高です(*≧∀≦*))鬼籍に入られた方も増えてきて最近は悲しく感じられます。MishimaはDVD化されていないのでもうビデオテープ劣化して見られなくなってるかもしれません。

長くなりました、本年もマダムの観劇日記を楽しみにしております。
失礼致しました。

ぷらむさま。
もっと行ってると思うのですが、記録がはっきりしているものだけ、リストアップしました。
スズナリ、昨年3月に久しぶりに行った時、外階段があのままなのに驚きました。そろそろ、全面的な改修が必要な時期ですよね。あのままですと、私はいずれ、階段を登れなくなるだろうと思いました。
 
むくるりさま。
そうでしたか!三上博史出演作でしたか!やさしい犬は。
全く憶えてなくて、メモもなくて、題名と劇場だけだったので、教えてくださってよかった。ありがとうございます。
チケット争奪戦に参加しない、という方針は精神衛生上、正しいと思います。私もだんだん、そちらへ移行したいと思ってはいるんですけどね。

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