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ネクストシアターの『第三世代』

 平日のソワレが少ないので、必然的に初日に行くことになった。11月8日(木)ソワレ、彩の国さいたま芸術劇場 NINAGAWA STUDIO。
 
世界最前線の演劇2『第三世代』
作/ヤエル・ロネン&ザ・カンパニー  翻訳/新野守広
演出/中津留章仁
出演 髙橋英希 内田健司 續木淳平 清瀬ひかり 松田慎也
   佐藤蛍 周本絵梨香 井上夕貴 阿部輝 手打隆盛
   北澤雅章(声の出演、ゴールドシアター)
 

 6月に観た第一弾の『ジハード』が素晴らしかったので、引き続き第二弾も観に行ってみたの。しかしこれは想像以上に手強かった。
 別に内容が難しいというわけではない。ドイツ人と、イスラエルに住むユダヤ人と、同じくイスラエルに住むパレスチナ人の若者たちが、自分たちの祖父母の世代が体験したことについて、率直に意見を交わす、という芝居なの。それぞれの役の若者たちは、その国の国旗の色をしたTシャツを着て登場するから、誰がどこの国の人間かは一目でわかる仕掛け。シンプルにわかりやすい。
 ただ、もともとこの作品が作られた経緯や作られ方を知ると、ことはそう簡単ではなくて。というのも、この芝居は、本当のドイツ、イスラエル、パレスチナの俳優を使ってワークショップで作られていったものなのね。だから、「役」というよりもそれぞれが自分自身として舞台に上がり、自分自身のルーツと主張と、エゴや偏見と向き合うという芝居なの。
 そうなると、この芝居を日本で全員日本人の役者がするとき、どうすりゃいいのか。
 当然ながら、全てを役として演じる以外に手立てはないわけなの。
 もともとが完全な役として出来上がっていないものを、役として演じなければならないので、ハードルがものすごく高い。自分が滲み出る芝居なのに、日本人の自分じゃないものを滲み出さなくちゃいけないから。
 
 ネクストシアターのいいところは、最近の若い役者さんにありがちな似たような顔をした美男美女の集まりではない、というところ。選んだ蜷川御大、やっぱり凄いな。いろんな顔、いろんな姿形の人が集まっていて、出身の違う3カ国の若者だという設定が無理なく受け入れられたし、それぞれの個性が際立っていて、見ていて飽きなかった。
 
 でもこの芝居がヨーロッパで上演されたときのような波紋を投げかけるには、大きく足りないものがあるよね、きっと。演出家は、どのあたりを着地点として目指していたのかなあ。マダムにはよくわからなかった。
 もしも。もしもね、これが日本と韓国と北朝鮮の「第三世代」の若者たちの芝居であったら、舞台に出て発言するにはどれほどのエネルギーと覚悟がいるかしら?それを想像したとき、やはり今回の舞台は物足りないと言わざるを得ないね。

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