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マダムの青春遍歴その1 それは西城秀樹から始まった

 西城秀樹が亡くなったのは5月のこと。
 マダムの中で長いこと彼は、向田邦子のドラマ「寺内貫太郎一家」の周平さん、だった。それ以外のことは、思い出しもしなかったんだけど。
 
 彼の死のショックはじわじわと沁みてきて、化石のような記憶のカタマリを溶かし、40年位思い出さなかったことが蘇ってきた。
 彼のシングルレコードを買った、と思うの。しかもそれはマダムが生まれて初めて自分で買ったレコードではなかったか、と。
 だけど、その後レコードをどこにしまったのか見た憶えがなくて、もう曲の題名すら思い出せなかった。「傷だらけのローラ」とか「ヤングマン」みたいな超有名曲ではないの。私はなんのレコードを買ったのでしょう? って、他人が知るわけがないよね。
 気になってしょうがないので、腰を据えてYouTubeで1曲1曲聴いていった。そうしたら、見つけたよ、マダムがシングルレコードを買った曲。イントロが始まった瞬間、すぐわかったの。もちろん全部歌えた。心震える。
 音楽ってすごい思い出し方をするものだ。聴いていた時の身体感覚がよみがえるんだもの。あの頃、テレビの中で歌う彼の稲妻にうたれたのよ。その後いろいろな稲妻を浴びることになるマダムの、人生最初の稲妻。その時の胸が痛いような気持ちを、まざまざと思い出し、ちょっと慄いたの。そうだよ、凄く好きだったんじゃん・・・始まりは西城秀樹だったんだ。
 せっかく買ったレコードだけど実際に家で、かけたかどうか怪しいの。というのは、当時マダムのうちにあったステレオは大学生の兄のもので、兄の部屋にあり、その横には兄が収集したクラシックレコードがびっちり置いてあって、「絶対に触ってはいけない」と言い渡されていたから。
 かけられないかもしれないレコードを、それでも買ったなんてね、健気だ・・・その時の自分がなんだか可愛いな、と思う。
 
 その曲は「ちぎれた愛」という曲。途中に「好きだーっっっ」って絶叫の台詞入りで、やっぱりこんなもの、家でかけられるわけがないのだ。それに別にかけなくても不自由はなかった。だって当時は毎日テレビで歌番組があり、ほぼ全てが生放送だったから、だいたい毎日西城秀樹が生で歌う姿を見ることができたからね。
 今になって、デビューして1年目くらいの彼が歌う姿をYouTubeで見て驚いたのは、べらぼうに歌が上手くて表現力が半端ないってことだった。当時マダムはただ稲妻に打たれっぱなしの中学生だったから、彼の歌がとんでもなく上手いことにすら気付かなかった。まあ、ファンの女の子たちの殆どが歌を聴いてるっていうより、彼のセクシーさを全身全霊で受け止めるのが精一杯だったんだよね。
 順を追って彼の曲を聴いてみると、「ちぎれた愛」の1曲前の「情熱の嵐」から好きになったらしい。曲の耳馴染み方が全然ちがう。そして1年半後の「傷だらけのローラ」まで熱心なファンだった。
 でも、そこでぷっつり、マダムの熱は切れてる。あんなに好きだったのに、どうしたんだろう。なにがあったんだろう。
 それを追求する前に。

 
 ほぼ同じ1年半、同時進行で、マダムの音楽的(文化的?)環境は、どんどん外部から刺激が与えられていった。テレビとは真逆の方向からそれは、やってきたの。
 大学生だった兄が仲間と一緒に、とある新人女性歌手のファンクラブを立ち上げた。同好会みたいなファンクラブで、ガリ版刷りの手作りな会報を出して。100人にも満たない会員数だったと思うけど、それでもアンケート用の返信ハガキが家にたくさん届くようになった。マダムも彼女の最初のアルバムを繰り返し聴いて、とても好きになって、アンケートの集計なんかを手伝ったりした。
 その歌手の名前は、荒井由実。

 その2に続く。
 

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コメント

まとまりましたね!
それにしても、封印(無意識に)してた過去が、こんな風に紐解けるってすごい。

私は、西城秀樹については、普通に「好き」だったと思います。
レコード買うほどじゃないけど、動向は知ってた〜くらいの。
「きったねぇな、ばあちゃん!」と、真似するくらいには。

荒井由実はねぇ、世代的にはお兄様のちょっと下くらいなのかな、私。
大学入ったら、男子どもが騒いでいて「山手のドルフィン」ツアーなんか
やってました。んで、マダムが書く前に先に書いちゃうけど、
歌が信じられないくらい下手でした。生だったり、テレビだったりすると。
ファンの男子たちに言わせると
「アイツは緊張しぃだから、アガっちゃうんだよー」
ってことだったけど、でもそんなレベルじゃないくらい下手だったw。

ぷらむさま。
思い出すと、なにもかも初めて触れる世界でありながら、そこに厳然と私の好みってものがありまして。
それと、音楽シーンがテレビVSテレビ外にきっちり分かれてしまう時期で、私はその両方を眺められる場所に居たんだなぁ、と。
続きをダラダラと書きます〜。

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