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さいたまゴールドシアター番外公演『ワレワレのモロモロ2018春』

 さい芸の稽古場に行くのは『アテネのタイモン』稽古場見学以来だ。5月12日(土)マチネ、彩の国さいたま芸術劇場大稽古場。

さいたまゴールドシアター番外公演『ワレワレのモロモロ2018春』
構成・演出/岩井秀人
出演 百元夏繪 高橋清 石井菖子 田村律子 大串三和子 森下竜一
   谷川美枝 竹居正武 遠山陽一 小林充子 佐藤禮子 益田ひろ子
   小川喬也 神尾冨美子

 昨年『薄い桃色のかたまり』でマダムを震撼とさせたゴールドシアター。今年はハイバイの岩井秀人を演出に迎えて公演を打つというので、またまた心憎い人選だなあと感心しつつ、観に行ってきたの。

 ハイバイの芝居はいつも、役者の一人が先に出てきて、携帯を切ってね、とか飴の袋をチリチリ開けるのはやめてね、とか話すのだけれど、それも同じように前説が行われ、うんうん、ここまではハイバイだぞ、と頷いた。
 セットも、木の枠だけの箱状のセットを部屋に見立てて、時折窓が開いたり、部屋の大きさが変わったりする。ハイバイの『て』を連想させるような自由度の高いセットなの。
 しかし。ハイバイの『ワレワレのモロモロ』の作り方(役者それぞれの苦い失敗談を元に皆で芝居を作る。)は知っていたので、構成は予想どおりだったんだけど、しょっぱなが冷蔵庫を買い換える話で、それ以上の意味もそれ以下の意味もない話だったのでビックリしたの。しかもその主役たる百元夏繪が風邪で全く声が出ないとのことで、マイクを持って舞台に立ち、それでも声がほとんど聞こえないというハプニングの嵐。
 彼女の声があまりにも出ないので、途中で、彼女のセリフを皆で手分けして喋ります、という断りがはいるシーンもあったりして、全体的に凄く助け合いの精神が感じられる舞台になった。観ている観客の側も、頑張れ、と心の中でエールを送りながらの観劇で、なんか筋がどうとか意味がどうとかより、その助け合いを固唾を呑んで見守るのがこの芝居の目的のようになっていって。
 そういえば、『薄い桃色のかたまり』のときには随所にネクストシアターの役者たちが配置され、守護神のように岡田正が輪の中にいたのね。でも今回はゴールドの役者のみだってことに、今更ながら気づいて、ハラハラするマダム。
 
 6つの話のオムニバス形式になっていて、冷蔵庫を買い換える話から、戦争中の記憶の話まで、様々な題材を扱っていたけど、題材の中身をあれこれ考えさせることよりも、それに向き合う今の役者としての姿(歳をとって、スムーズには動けずセリフも滑らかには出てこず、時折たちすくみ、お互い助け合う)をとにかく見せ続けることに意味がある、ということなのかな。
 
 客席には演出の岩井秀人はもちろん、ネクストシアターの役者たちも見に来ていて、観客と一体となってハラハラしつつ暖かく見守った1時間40分だった。
 
 これ、オムニバスだから成立したけど、1時間40分で1本の芝居を作るとしたら、やはりネクスト(またはそのような役割ができる役者)の力を借りないと無理なのではないかしらね。
 この日はアフタートークがあって、岩井秀人と演劇ジャーナリストの徳永京子、それにさい芸の制作の渡辺弘、という顔ぶれのお話が聞けたのだけれど、それはまた別記事でね。
 
 

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コメント

昨日観てきました。どの話も死の気配が濃厚なのは、作者年齢の所為か、岩井秀人の構成の取捨選択の所為か。僕はハイバイのメンバーのワレワレのモロモロとの落差は深かったのに驚きました。百元さんの喉が全然治ってないようです。生老病死苦の無常を感じます。

叡さま。
ゴールドの役者さんは、役者であることの前に高齢者なのですね。今回の「ワレワレのモロモロ」では、題材選びといい上演自体といい、そのことが前面に出たなあ、と感じました。

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