最近の読書

« 翔ぶまで待ちたい『岸リトラル』 | トップページ | 深いオーソドックス 加藤健一事務所『ドレッサー』 »

『見晴らす丘の紳士』を観る

 去年も突然思い立って、王子に向かったよね。3月7日(水)ソワレ、北とぴあペガサスホール。

Live Up Capsules 公演『見晴らす丘の紳士』
作・演出/村田裕子
出演 宮原将護 山形敏之 桂弘 藤代海 弓削郎 遠藤綱幸
   鈴木大倫 山田隼平

 忘れもしない昨冬の収穫『スパイに口紅』(レビューは→ここ )。同じ作家が、ほぼ同じ座組で新作を上演するというので、初日に行ってみたの。

 面白かった。『スパイに口紅』は戦時中のお話だったけれど、今回は明治時代。王子の飛鳥山に邸宅を構えた渋沢栄一の物語。確かに、見晴らす丘の紳士、だ。
 舞台はそれぞれ50くらいの客席に挟まれた20畳くらいのスペースに、渋沢のどっしりしたデスクがあるほかは、いろんな形の椅子がランダムに置かれているだけ。ここは渋沢の家で、次々、次々、人々が訪ねてくるのを、書生がひとりでさばいている。
 渋沢栄一(宮原将護)と書生(山形敏之)と、最後に渋沢と対決する金子直吉(山田隼平)の三人以外は、ひとりで何役も務めなくてはならない。始めは晩年の渋沢に頼み事をしてくる人々。そこから突然回想になると、若返った渋沢と切り結ぶ男たち(渋沢栄一って幕府方だったのね)。明治になり、フランス万博から帰国した渋沢に接近する大隈重信、対立する大久保利通。政治ではなく商売へ転じた渋沢に寄ってくる人々。ライバルの岩崎弥太郎。事業の失敗の尻拭いを頼みに来る部下たち・・・。次から次へと役を替えていかなくてはならないので、途中、誰が出て行くかを押しつけ合うギャグなどもはさみ、衣装替え(帽子をかぶる、コートを脱ぐ、カバンを持つなど)は舞台上で淡々と行い、とにかくスピーディに芝居が進むの。このテンポの良さは、昨年の『スパイに口紅』の時と同じで、演出家の得意技のよう。
 マダムがいいなぁと思うのは、実際はみな若い役者だと思うのに、明治の早熟な大人の男たちの雰囲気がちゃんとあるところ。それと、いろいろな顔をもった役者が、それぞれ魅力的なところ。それを引き出すのが女性の演出家だってところにも、大いに興味が湧くわ。
 だってさ。最近はテレビドラマのみならず舞台でも、同じような顔のイケメンもどきが並んでいて、セリフには力がなくて・・・ってことが増えてるんだもの。マダムはいつも言ってるでしょ、演技の上手い役者がホントのイケメンだ、って。
 
 そうは言いつつ、主役の宮原将護はホントのイケメンで、彼の顔がよく見えるように渋沢のデスクが向いている方向の席をちゃんと選んだマダム。狙い通りに重要なセリフの時はすべて顔が見られて満足。さらに、なかなか出てこないので心配したAUN所属の山田隼平が、最後に出てきてすごい見せ場を演じ、セリフの確かさを見せてくれたのにも満足したの。
 
 それにしても政権を握ったものの何をしたらいいかはっきりしない大隈重信とか、総額を考えないで莫大な軍事予算を要求する大久保利通とか、戦争で儲けた人間が会社を乗っ取ったり政治家に賄賂を渡したり、その挙句に会社に借金を残して放り出したり・・・今の政治状況を思って、暗澹たる気持ち。進歩ってものがないじゃないの!
 
 これから村田裕子って作家をちょっと、追ってみようと思うわ。

« 翔ぶまで待ちたい『岸リトラル』 | トップページ | 深いオーソドックス 加藤健一事務所『ドレッサー』 »

芝居レビュー 」カテゴリの記事

コメント

面白そう!
若い劇団や才能に出会うと嬉しくなるし、テンション上がって元気出ますよね!
今回は、バタバタしていて観られなかったけど(今週4本観劇なんです)、次のチャンスには是非。

ぷらむさま。
次は同じメンバーで7月に下北沢で公演を打つもよう。
ぜひ!

マダムの日記を読んで観に行ったのですが、端的に言って眠かったです。エレベーターに同乗した方も
最前列に座らなかったので良かったと。僕自身は前が居ない二列目に座ってしまい役者さんに失礼したのではないかと恐懼してます。本煙草多用演出は甚だ疑問です。扱う題材がてがみ座(地に渡る舟・乱歩の恋文)に近くどうしても比べてしまい、バタバタ埃が舞うのが目立ち、長過ぎです。宮原将護さんを観に行っただけ気がします。

叡さま。
あー、ちょっと残念でしたね。
煙草の件は私も疑問に思いました。昨年の『スパイに口紅』の時は煙は出るけど本物ではないという説明があり、匂いもしませんでしたが、今回はもろにかぶってしまい、閉口しました。しかも、あまり意味がなくて。
私は結構面白く見たんですよ。ただ、じゃあ渋沢栄一って人はどんなひとだったのか、ってところが今ひとつはっきりしませんでしたね。そこを宮原さんの魅力に頼っちゃってた気がします。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 翔ぶまで待ちたい『岸リトラル』 | トップページ | 深いオーソドックス 加藤健一事務所『ドレッサー』 »

2018年4月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

関係するCD・DVD

無料ブログはココログ