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本物の迫力『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』スペシャルショー

 来日公演というものには、あまり行かないんだけれど、今回ばかりは駆けつけた。10月14日(土)マチネ、東急シアターオーブ。

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』スペシャルショー
脚本/ション・キャメロン・ミッチェル 音楽・歌詞/スティーブン・トラスク
演出/ヨリコ ジュン 音楽監督/岩崎太整
出演 ジョン・キャメロン・ミッチェル 中村中

 そもそも「ヘドウィグ」なる芝居について、漏れ聞いたことはあったものの、最近まであまり知らなかったマダム。日本で上演されたもの(山本耕史とか森山未來とか三上博史とか)も未見。StarSや単独コンサートなどで浦井健治がほぼ持ち歌のように歌っている「ミッドナイト・レディオ」がとても良くて、それを、本家本元が歌ってくれるなら、聴いてみたい。ただそれだけの気持ちで、行ってみることにしたの。
 だから今回の公演について予備知識がほとんどなかったんだけど、「スペシャルショー」と銘打っているように、これはオリジナルの芝居をだいぶ端折って、さわりを説明するような構成。ただし歌の殆どは、本家本元のジョン・キャメロン・ミッチェルが歌う。だから勿論「ミッドナイト・レディオ」も歌ってくれて、そこはちょっと言葉にならないくらい、薙ぎ倒されたマダム。それだけで、来た甲斐があったというもの。

 もともとの芝居も、ヘドウィグが、ショーの合間合間に自分のことを物語る、という構成らしい。今回は、だいぶ端折っているものの、そこは基本同じ。違うのは、セリフを日本人の中村中に任せて、歌のところだけジョン・キャメロン・ミッチェル登場、としていること。
 でもそれは良いアイデアだったね。だって字幕を読みながらでは、到底ヘドウィグの複雑な人生を理解することはできそうもなかったし、歌の日本語訳の字幕は出ていたものの、プロジェクションマッピングと一緒くたになってて、よく見えなかったから。

 芝居を観たというより、芝居を紹介するショーを観た、という感じだったので、内容に感動したというよりも、『ヘドウィグ』という芝居を最初から作り上げたジョン・キャメロン・ミッチェルの本物感に、ただただ圧倒された2時間だった。
 わかったのは、このロック・ミュージカルの凄さは、なによりもヘドウィグという人物設定の重さ、というか深さなんだなぁ、ってこと。
 だって、ヘドウィグの生まれは、東ベルリン。大戦終了後の駐留米兵を父とし、東ドイツ人の母から生まれてる。若い時に、ゲイとして自分もやっぱり米兵と恋に落ちアメリカに渡るの。その時受けた性転換手術が失敗したから、「アングリーインチ」なんだよね。物語の中には、戦中のユダヤ人迫害の始まりの話も出てくるし、ヘドウィグの現在の恋人イツアークもザグレブの出身だったり・・・戦後の矛盾がギュッと押し寄せている人物(矛盾を体現しているゲイ)なのよ、ヘドウィグという存在は。
 
 マダムと同じ回を、浦井健治も観劇していたらしい。この役をやりたいと、考えているのかな?相当な覚悟がいるよね〜?
 本物を観たら、気楽に「やってー」とは言えなくなってしまったわ。
 ただ、いつかどこかで、今回みたいな短縮版ではなく、完全版『ヘドウィグ』の舞台を観たい。それは、本当に。

 

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コメント

いや、もう本物の存在感と迫力には、ひれ伏すしかなかったですね。
物語パートをやってなくて、出て来て歌うだけで、アレだもの。すごいわ〜。
そして、日本に中村中というトランスジェンダーがいてくれて良かったw。
イツアークは女優でも男優でも歌手でも、そのどれでも収まりが悪いし、
その上に、今回はヘドウィグの代役も兼ねているので、その重荷は結構なもの。
よくやったと思います。

浦井くんがヘドウィグをやるやらないは置いといて
(やるならイツアークは山崎育三郎はどうかな? もうちょっと若い子かな?)
いや、置いといて!
浦井くんがホンモノの歌を受け止めて、あの独特のアンテナで何かを
キャッチして、今度、この歌を唄うとき、何かが変わっていることを
楽しみにしています。

ぷらむさま。
中村中という人の名前は知っていたんだけど、今回ちゃんと発見しました。声の幅がすごくて、度胸とオーラがあって、かっこよかった。
浦井くん、いつ歌う機会がありますかね〜?
早く聴けるといいけど❤️
それはともかく、完全版が見たいです。日本人でもいいので。

私も芝居は観ていなく、映画版のみ観てから行ったのですが、ご本家、あれから10何年も歳を取ったとは思えないパワフルなステージでしたね。
声、凄く出ていたし。
あの派手な髪型、メイク、衣装で登場すれば
それだけでインパクトあるけど、なおかつ中の人のパワーが凄かったです。
私も浦井君のヘドウィグを早く観たいと思っていましたが、ちょっとたじろいでしまいました。
でも日本で次やるなら他の俳優に渡したくないしねぇ〜〜(ファン目線すみません💦)

ホワイトさま。
いやほんと、その通り。ファンの気持ちを代弁してます。
簡単にやれとは言えないが、かといってほかの同世代の役者には取られたくない。
ほんとにそうです!
だから、結局、やっちゃえ!ってことなのかも(演出家次第だし)。

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