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楽しさ全開 AUNの『間違いの喜劇』

 久しぶりすぎる高円寺。8月5日(土)マチネ、明石スタジオ。

劇団AUNワークショップ公演『間違いの喜劇』
作/ウィリアム・シェイクスピア 翻訳/小田島雄志
監修/吉田鋼太郎 演出/長谷川志
出演 木村龍 橋倉靖彦 河村岳志 松尾竜兵 齋藤慎平 山田隼平
   飛田修司 岩倉弘樹 前田恭明 伊藤大貴 千賀由紀子 水口早香
   悠木つかさ 森瀬惠未 佐々木絵里奈 桐谷直希 砂原一輝

 私事ながら、高円寺はシェイクスピアの聖地。
 昔、高円寺にはシェイクスピアシアターのアトリエがあり、そこで、マダムは生まれて初めてライブでシェイクスピアを観たの。以来、シェイクスピアの面白さの虜。 高円寺で降りたのは本当に久しぶりだったんだけど、明石スタジオの席に着いたら、小屋の大きさといい、限りなく無に近い装置、大道具の無さといい、シェイクスピアシアターのアトリエそっくりだったので、それだけで故郷に帰ったような気がしたの。
 で、始まった芝居は、ホントにマダムを原点に運んで行ってくれるような面白さだった。
 
 『間違いの喜劇』のあらすじ説明とかはしないよ。
 
 二人のドローミオが、最高。根っから喜劇体質のドローミオ兄(齋藤慎平)と、少しヤンキーが入ってるドローミオ弟(山田隼平)の動きが楽しくてしょうがなかったし、ハイテンションで叫んでいるようでも、ちゃんと台詞の全てが耳に届いて、それがメチャクチャ可笑しい。二人のノリの良さが役者たち全員に伝染して、芝居を引っ張っていってたわ。「間違いの喜劇」はドローミオ兄弟が主役だったのね。初めて知ったー。
 エドリエーナ&ルシアーナ姉妹も負けてなかった。エドリエーナ(水口早香)の大柄で押しまくって舞台を制圧する様子に笑ったし、対するルシアーナ(悠木つかさ)の小柄だけどのんびりゆったりのマイペースさが、あたりをじわじわと侵食していくのがまた可笑しいの。
 始まって30分くらいで可笑しさは雪だるま式に膨らんでいき、あとは、もう誰が何をやっても可笑しくて。アンティフォラス兄(河村岳志)の堅物さも、アンティフォラス弟(松尾竜兵)のキレやすい体質も。商人(伊藤大貴)はニコニコしてるだけで可笑しく、金細工師アンジェロ(岩倉弘樹)なんて、最後には何も言ってなくても可笑しい、という具合に、どこを切っても可笑しくて楽しいの。もう、凄くよく出来てる!
 そして笑ったあとの締めで、修道院主エミリア(千賀由紀子)がアンティフォラス兄弟の母だとわかるところは、ちゃんと、ジーンとする。出番は少ないけど、エミリアをベテランがやるってことには、凄く意味があるんだよね。

 シェイクスピアの喜劇の面白さは、台詞にかかっているの。この台詞をどんなつもりで誰に向かって言うのか。聞いた相手はどんな風に受け止めて、言い返すのか。周りはそれを聞いてどんな反応をするのか。もうそれだけ。それを板の上にいる役者が全員、わかっていて、やり遂げたら、メチャクチャ面白いものが出来上がる。
 劇団AUNはシェイクスピアの専門劇団ながら、ここ数年シェイクスピアから遠ざかっていた。でもさすがだわ。若手のワークショップ公演といえども、全員がどんな瞬間も今起きていることにヴィヴィッドに反応してた。やっぱりこうでなくちゃ。セットも小道具もなにもなくったって、面白いのよ、シェイクスピアは。
 
 それとね、今回マダムは発見したのよ(そんなことは、とっくに知ってると、みんなは言うかな?)。
 シェイクスピアではよく、双子とか、瓜二つの兄弟とかが出てきて、それを一人二役でやる上演もあるんだけど、マダムは初めてシェイクスピアを見たときから、全然似てない役者がそれぞれの役をやるのを自然に受け入れてきたし、今回も二人のアンティフォラス、二人のドローミオがとても良かった。
 いえ、むしろ、違う役者が双子をやる方が断然いい、と思ったのよ。
 だってさ、もしそっくりな双子を二組見つけてきて、アンティフォラスとドローミオをやらせたとしたら、よ。観客も、今出てきたのがアンティフォラス兄なのか、ドローミオ弟なのか、瞬時に見分けられなくなっちゃうじゃない? この「瞬時に」ってところが大事で、観客の方は瞬時に、ドローミオ兄!とかアンティフォラス弟!とかわかるから、登場人物たちが右往左往するのが可笑しいわけなのよ。迷ってから理解するんじゃダメなの。可笑しさの勢いがなくなっちゃうもの。
 
 というわけで、ホントにホントに楽しかった。またやってほしい。毎月やってほしいくらいだわ。

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コメント

うー行きたかったです。
この5月に蜷川さんの「間違い~」をやっと
見て、ちょっとモヤモヤしたので。
楽しかったんですけど、もっとスビ―ドが
あると良いのにと思ったので。
AUNのシェイクスビアもっと見たいです

かおりママさま。
 
うん。スピードありましたよ。ノンストップな2時間でした。
ワークショップ公演で、鋼太郎さんは演出しなかったのですが、AUNの若手の中に、演出の力がある人が育っていることを証明した感じ。またきっと、やってくれると思っています。

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