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期待通りの『子供の事情』

 三谷幸喜の芝居は久しぶりかも。7月16日(日)マチネ、新国立劇場中劇場。

シス・カンバニー公演『子供の事情』
作・演出/三谷幸喜
出演 天海祐希 大泉洋 吉田羊 小池栄子 林遣都 春海四方
   小手伸也 青木さやか 浅野和之 伊藤蘭

 最近、三谷幸喜離れしていたマダム。
 必ず一定水準の芝居を見せてくれて、それはすごいことなんだけど、マダムはびっくりしたり、塞がっていた脳の小窓が開いたり、胸の底を揺るがされたりしたいの。そういう深いことはやりたくない、心に残らない芝居が作りたい、っていうのが三谷幸喜がよく言ってることだから、向かう方向が違うんだなぁと思って、離れてた。
 でもさ、本当にひとっかけらも心に残らない芝居を作りたいと思ってるのかしら、三谷幸喜?
 そんなことないよね。だって、面白いものを作ろうとすると、人間を描いちゃうことになるし、テーマらしきものがまるっきり深刻じゃなくても、だからって、心に残らないわけじゃないもんね。
 
 それにしても今回、反射的にチケット買っちゃったのは、シス・カンバニーの罠にまんまとはまったの。だって、こんなメンバーを一つの芝居に投入してくるなんて、もう異常事態だもん。それぞれ主役が張れるような人ばかり。当日券に並ぶ徹夜組が出るなんて、なんかもう吃驚だわ。
 それでもって、半ズボンのお坊っちゃまスタイルの林遣都の第一声が「こんにちは。三谷幸喜です。」だったからさー、まったくもう。やりたい放題ね。
 
 小学四年生の放課後の日々を描くのに、このメンバーを集めた、その発想だけでもう勝ったも同然で、なんだかちょっと悔しい気もする(昔々、ギャングを描いた映画で、ギャングの親玉から情婦まで全員子供が演じるという、面白い映画があったんだけど(←「ダウンタウン物語」)、その逆の発想というか。三谷幸喜は同世代なので、案外そのあたりからの発想だったりして)。わざとらしい子供っぽい演技はなくて、それぞれいつもの役者さんの演技だったのがよかった。
 学校の教室を後ろから眺めるようなセットで、毎回毎回、放課後に残ってダラダラしている、同じ顔ぶれの子供たち。アニキというあだ名の女の子(天海祐希)を筆頭に、ゆるくもどこか緊張感のある人間関係が作られている。そこへ転校生ジョー(大泉洋)が現れて、人間関係は微妙に変化していく。アニキは、みんなのアニキだった地位を追われ、ソウリ(青木さやか)は学級委員から転落し、リピート(浅野和之)が学級委員となりジョーの傀儡政権となる。子役として芸能活動しているヒメ(伊藤蘭)、クラス一のワルのゴータマ(小池栄子)、ゴータマの番頭みたいなジゾウ(春海四方)、恐竜博士のドテ(小手伸也)のそれぞれに少しずつジョーの魔の手が伸び、みんなジョーの影響下に入るかというとき。
 クラスの中でも地味なホリさん(吉田羊)の番がやってくる。ホリさんは、家族の中で事件があった過去があって、クラスの仲間は、子供なりに彼女のことを気遣ってやってきてる。が、校門のところにマスコミがやってきて、ホリさんのことを捕まえようとして、ジョーはこの機をとらえていかにもホリさんの味方のように振る舞い、一気にクラスを掌握しようとするのだが・・・。
 他の話が他愛のない悪戯なのに比べ、ホリさんがマスコミにさらされそうになる件は、大人顔負けの悪魔的な仕業なの。だからそこにはちゃんとアニキの機転でストップがかかり、ジョーの化けの皮が剥がれ、クラスはまたもとの平和を取り戻す。
 そこは期待通り。「蠅の王」みたいな怖い話には絶対にならない。そこは三谷幸喜だから。
 途中、ミュージカルみたいな瞬間があって、みんな歌がうまいし、めちゃくちゃ楽しい。これだけのメンバーがほぼずっと舞台の上に出ずっぱりでいてくれるのも、眼福だったなあ。
 最後の畳み掛けるあたりで、なにもかもアニキ一人が謎を解明するムリヤリ感と、ジョーの暴かれた転校前の性格が不自然だったのが、気になったわ。なんか、いつも三谷幸喜、こういう匙を投げた感じがあるんだよね。彼ほどの人がこの不自然さを気づかぬはずはなく、わざとだと思うんだけど、どうなのかな。
 
 マダムは、大好きな浅野和之の軽快な動きが見られたので満足。これなら、ワンピースやっても、似合うでしょうね。11月、どうしようかなぁ。迷うところだわ。
 
 そうだ、とてもよかったラストのことを書こうと思ったんだけど、これは公演が終わってからにしようっと。

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コメント

ラストの演出のことは触れないの?
あれで、え?って思ったことも、チャラにしてしまった私なんですが。

ぷらむさま。
公演が終わったら、書き足そうかなと思って。
あれだけは、ひとこと書いたら終わり、ネタバレっていうか、つまんないかなと思いました。

そうですね。
あれは、見て、びっくりして欲しいし。

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