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『エリザベート』その3 マダムの好きなミュージカル

 もともとミュージカルが苦手なマダムだったのに、StarSの戦略にまんまとハマり、毎年、何本かのミュージカルを観るようになった。それでも、日本のミュージカルを好きになったとは言えないの。どうしても大劇場でチケット代は高額になるし、1000円あたりの満足度(マダム自身調査)だと、ポイントが低くなりがち。
 だけど、そのなかで『エリザベート』はマダムが特別に好きになったミュージカル。
 今回の素晴らしさは格別だったけれど、かつての一度目も二度目も、それなりに満足して観たのね。それって、やはり、もとの台本と曲が凄く良いものだからってことだと再認識した。
 きらびやかな衣装に身を包んだ登場人物の、宮廷生活の物語。恰好のミュージカルの題材だけれど、芝居として1本芯を貫くテーマは、人生の苦い真実を描いて、1歩も引かない。エリザベートの人生の負の要素(娼婦に手を出した夫から性病をうつされたり。自分のことで精一杯になって息子を見捨てて、息子の自殺を止められなかったり。夫フランツと遂に和解することが出来なかったり。)も、真実を描くためには、はずさない。これ、大事なことね。都合良くオブラートにくるんだり、紗をかけたりしちゃあダメなのよ。
 エリザベートの心を投影した人物として、トートを造形したことがまた、凄い。『モーツァルト!』のアマデの存在がドラマのポイントであったように、トートの存在がドラマの骨格を支えているの。
 曲も皆、良いのよ。耳にちゃんと残っていくメロディ。また1曲1曲に籠められた意味の中身が濃いの。感情がいっぱい詰まっているの。だから、飽きちゃうシーンが無いのよね。
 実に良く出来ているミュージカルだわ。
 
 主演の二人が素晴らしかったので、珠玉の出来映えだったんだけれど、他の役者さんたちも皆、ちゃんと役を生きていたわ。今回、あらゆる役がダブルキャストなので、あの人だったらとかこの人だったらとか、言い出したらきりがない。マダムは尾上松也ルキーニも良かったと思うし、古川雄大ルドルフも剣ゾフィーも過不足無かったと思うし、満足しているの。そして佐藤フランツに至っては、ちょっと感心した。だって、エリザベートを見初めた青年皇帝の頃から、二人で別れの「夜のボート」を歌う晩年まで、違和感が無かったんだもん。エリザベートと一緒に年を取っていったの。これ、なかなか出来ることじゃないよ〜。
 それとさすが東宝、アンサンブルの層が厚くて、小さな役でも上手い人たちが支えているので、安心して観られた。
 3ヶ月をロングランと言っていいのかわからないけれど、この間、マダムが『エリザベート』を観るのは、1度きり。凄く満足したから、この気持ちを胸にしっかり抱いて、しばらく反芻するつもり。
 すっかり若返ったキャスティングだから、順当に行けば何年か後にまた、再演があることでしょう。その時には、また観たいわ。だけど、果たして、順当に何年かが過ぎるかしら?本当に?マダムは恐れているの。私たちは本当に再演を観ることが出来る?
 だから、みんなで今の日本の平和な状況を死守したいの。『エリザベート』の再演を楽しい気持ちで迎えるためには譲れないところよ。そのことだけは、みんなに伝えたい。

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コメント

マダムのことば、受け止めました。
再演を心から楽しめる幸せをつくらずになんとする。


で、話が戻りますが、
恋愛度が深まったとはいえ、
なぜか恋愛感覚に浸りきれないのです。
エリザベートは精神に異常をきたすことを恐れていたそうですが、
トートは彼女の死への衝動や、実人生と折り合えない慟哭の象徴かという
感覚が強くて…。


などと考え続けられるように、
私もがんばります、この度は。

今回のエリザベート、凄かった。そして誰も触れないけど、あのナチの軍服とクロインハーツの旗の大きな降臨に真底ゾッとしたのです。
若い二人の軍服がとても似合ったし、憎しみの群舞が新大久保のヘイトスピーチのデモのようで本当に怖かった。
平和、大事ですよ

ウィーン版のHass! ではハーケンクロイツでなく架空の紋章?なんですよね…

たぶんこのシーンのおかげでNYやロンドンで上演されてないらしく…

やはり日本版のエリザはあの耽美なトートのおかげでこの人気なんでしょうね


ルドルフの死後、エリザを拒否するトートの言葉が

日本版…まだ私を愛していない
ウィーン版…もう遅すぎる(エリザがルドルフを拒否した言葉と同じ)

ということからも日本版(トートとの恋愛)
とウィーン版(トートはエリザの自己投影)という設定の違いがはっきりしてますね…

あと、余談ですが皇帝の愛人?に関しては
史実ではエリザ自身がお膳立したらしいです…(あんな怪しい娼館からでなく、もっと身元正しい女優さんだそうです)

マダムがおっしゃる通り、平和でなければ観劇も楽しめませんね

なんだかきな臭い世の中になりつつあるのはエリザの時代が復活するのか?

それはお断りですね…

hikaruさま。
もちろん、トートはエリザベートの分身で、死への誘惑の象徴ですよね。その誘惑を凄く甘美に描いているのが今回の演出の特徴だな、と思いました。
城田トートだと、少し違って見えるのかしら?
 
かおりママさま。
平穏無事に観劇人生を歩みたいと思っていますのに、こんなふうに心乱されるのは腹立たしいです!
 
わんわんさま。
ウィーン版「もう遅すぎる」って,ホントに?
それが「まだ私を愛していない」にどうしてなるの?
改変し過ぎですね。
やれやれ、ウィーン版を観なくちゃいけないのかしら・・・・。呆然。

マダムさま コメントありがとうございます。 そうです、トートの役割が全然違って出番も少ないです(ウィーン版)

有名なところではハンガリー貴族が出てこないのでトートさまがエルマーと陰謀を企むこともなく、カフェのシーンも暇な市民が退屈凌ぎをするだけという、生温い展開になっていました。

どちらも違って面白いですが(個人的には)

しかしウィーン版で許せないのが再演ではプロローグでのハプスブルク家の方たちによる唄がほぼカットされていること‼︎
(ゾフィー、ルドビカ、マックス、ルドルフ、ちびルドルフの掛け合いがごっそりカット!)これには納得いかない!です。

長文失礼しました。

わんわん様
横レス、失礼します。
私は、日本版(宝塚版を含めて)より先に、ウィーン初演版を観て、UweとPiaの『エリザベート』にはまりました。もちろん、宝塚初演〜東宝初演から日本版も観ていますが。

『エリザベート』がロンドン、NYでの上演がかなわないのは、Hass!の場面云々というよりも、イギリス/アメリカ人には、ハプスブルグ家にシンパシーがない、むしろ嫌いだから〜と漏れ聞きました。ウィーン初演の時から、現地でもそう言われていました。「売れないだろう」って。
Hass!の場面だけのことなら、『エリザベート』は、各国事情によって演出を変えることが許されているので、改定すれば済むことですしね。実際、宝塚版は最初はなかったくらいですから(今はあるんでしたっけ?)。ラストのエリザベートの行動も、各国版で違いますし。

そしてマダム!
そうなんですよー。
トートは、「遅すぎる、私はお前を望まない! 行ってしまえ」って言ってるらしいです(笑)。
日本版は、小池修一郎さんの潤色のおかげで、歌詞も相当に甘々だし、ニュアンスがかなり違ってます。やっぱり宝塚の演出家だけのことはあります(笑)。

>マダム様、
ウイーン版エリザの話は、ぷらむ様の「トロクレ」日記のコメント欄で、期せずして、ぷらむ様とその話になってしまったばかりなので、そちらを読んでくださいませ。

で、東宝版エリザの話ですが、音楽も良いですし、王室の話、嫁姑、トートの存在などの要素もあり、人気演目で失礼ながら、誰がやっても、そこそこ大丈夫(今までがそうでしたよね)、今回は舞台装置、演出を若干変えて、あとはレジェンドエリザと若い人気役者を投入、地方公演もないことからチケット完売になった、客観的に見ればそんな感じだと思います。

それで、井上トートのことですが、いつものマダム様だったら、何か一言あるかな?
と思ったのですが。

元読売新聞の河村常雄さんがネットで劇評を書かれていて、「河村常雄の新劇場見聞録」で検索すれば読めますが、「ファンは大喜びだろうが・・・・」と井上トートに注文をつけていらっしゃいます。開幕すぐの観劇のようなので、今は良くなっているかもしれませんが、河村さんって、比較的褒めるほうの劇評が多い方なので、注文が付くこと自体が珍しかったです。

ここで一句。
 
「ヴァイオラの記事より長いコメント欄」
 みんな、熱いっス。
 
わんわんさま。
情報、ありがとうございます。
なんかね、ウィーン版を観なくちゃいけない感じに追い込まれてるんですけど。
 
ぷらむさま。
やっぱり、井上君の演技云々の前に、日本版の演出、潤色について文句いうべきなんでしょうね。
でも、ウィーン版を観てないから、私は今のところ、文句いえないー。
 
たかちゃんさま。
もとがしっかりしたミュージカルなので、人気があるんだと思います。でも、誰がやっても大丈夫、ではなかったんですよ。今回、花総さんを観たら、今までの人たち、どうなの?って思う人もいたと思います。
でね、私が観た回は、もしかして相当よかった回なんです。私は1回しか観てないので、比べられないんですけど、観ながら、これは凄く全員が乗ってる舞台だわ、と感じたんですよね。客層も良かったのかもしれません。凄く盛り上がった感があったんです。
なので、今回は褒めたかった、素直に。
マダムもけなしてばっかりじゃない、ということで、ひとつよろしくお願いいたします。

マダムさま、そうですよね・・・
 結論:みんな大好き エリザベート!!!

ウィーン版でいちばん 入手しやすいのはアマゾンでも販売している
 ”エリザベート ― オリジナル・ウィーン・キャスト” のCD でしょうか?

しかし、これはけっこうカットされているし、ウィーン版のファンの方からはあんまりいい評価がされてなかったり・・・でも日本語訳が付いているのですよね)
ちょっとですが、それぞれの曲を視聴することも可能です。

と思ったら・・・なんと ようつべ にウィーン版ライブDVDが字幕付きでアップされているのではありませんか!!汗 主演がマテさんとマヤさんですよ~~ 

https://www.youtube.com/playlist?list=PL7D93FB9F35C7185B

いやあ。。。いい時代になりましたね・・・自分が買ったウィーン版ライブDVDは字幕なしでしたよ・・・

ようつべだからちょいちょい広告が入るのがいらっとするのと、(←タダだから文句言わな~~い!)
プロローグの ”エリザベートのためにしたことよ~~” から始まる、
ハプスブルク家の皆さまの掛け合いがカットされているのと
ルドルフのルックスがいまいちなのが残念ですが(え==;)

でも 夜のボートのシーンはいつ見ても泣いてしまいそうになります。。。
噂に聞いていた前衛的?な舞台装置は帝劇では絶対無理無理!な感じです・・・


マダムさま。ご多忙でしょうが・・・
もし よろしかったら ぜひぜひ ご感想をお聞かせください。(無茶ぶりしすぎ・・・ですかね汗)

手っ取り早くトートに拒否されるエリザをご覧になりたかったら
EIisabeth 18 の2分すぎあたりにありますよ~~

・・・自分もあとでじっくり見よう・・・

それからまた衝撃情報・・・
井上トート閣下、年末はシアターコクーンで”ひょっこりひょうたん島”のマシンガンダンディだそうで
ドンガバチョは白石加代子さんです!!・・・(若い人、わからないですよね・・・)
これは個人的に見たいかも・・・です(え~~??)

本当に、本当に超長文・しかもちょっとうざくて申し訳ありませんでした(平謝り)

マダム、私の回も手拍子のタイミングは絶妙、
客席の、この舞台への思い入れが感じられるノリノリ感でした。

演出も、いろいろなんですね〜(まったく不勉強)。
しかし、ナチスの旗は思わず頭の中で歴史を復習してしまいました。
宙組版は、エリザが「私だけに」を歌う前、胸を突こうとしてやめたナイフの
印象が強いです。

CD発売楽しみですが、どんな組み合わせか。
蘭乃はなちゃんは、たしか初舞台が花總さんの退団公演。
チケット、もっととっておくべきでした。(でも、高い……)

久しぶりにお邪魔します。
「エリザベート」、どうやらマダムと同じ日、同じ回を観ていたようで、
何かご縁を感じてしまいました。

コメント欄がすごいことになってますね。
私はごく普通に……(笑)。

芳雄くん、とってもセクシーでしたね。
でも基本的に、男としての色っぽさはあまりない人だから、
あの色気は姿形からではなく、まさに声と歌(=セリフ)からくるんだと確信。
禁断の領域に入ってしまった男としての黄泉の帝王と、生身の女性との愛というより(それはおそらく城田トートが見せていると思う)、
マダムがおっしゃる通り、芳雄くんトートは、ゲームを楽しんでいるようで、
時に突き放し冷めた目でエリザを眺めては駆け引きを企む、
(でも本心ではエリザを早く手に入れたい)S的な愛を感じました。

その少し前に、芳雄くんトート&育くんルキーニの回も見たんだけど、
育くんは自分のこれまでのイメージを壊すべく、自分なりのルキーニを模索して健闘してました。
でも、ルキーニの造形としては、私は松也くんのほうが好き。

せっかくなのでStarS流れで、
「トロイラス……」ようやく前楽に観ました。
横田さんのセリフ回しが時々鋼太郎さんにそっくりで、ニヤニヤしちゃいました。
ヘクターを鋼太郎さんが演ったら面白い対決になったかも、なんて思ったりもして。

えっと・・・非公開を望まれてる方には、お返事も公開しません。ていうか、誰にお返事してないか、もうよくわからなくなってる(汗)。
 
わんわんさま。
少し暇ができましたら、ウィーン版の研究してみますね。
いろいろ教えてくださり、ありがとうございました。
 
hikaruさま。
確かに、チケットは高いです。でもこれだけ楽しませてくれたら、コストパフォーマンスは良い方ですよね。
 
ラズベリーさま。
私は井上君を見始めて間がないので、今回が一番いい井上君でした。やっぱり歌の人、と思いました。
私は、どちらかというと演技の人、が好きなんです。なので、やっぱり浦井君のほうに、肩入れしちゃいますね。
ていうか、なんでこんなにミュージカル観てるのかしら、気がつけば。そして、好きになれそうなものが少ないです、日本のミュージカル。

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