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『エリザベート』その2 満を持した井上トート

 一昨年、StarSのコンサートで、井上芳雄が「最後のダンス」を歌い終わった時、「トート、やってぇー!」と叫んだマダム。マダムが叫ばなくても、やる気満々だっただろうけれど、発表になった時には、本人もファンも、ああ遂に!と思ったわけね。
 そのうえ開幕から2ヶ月近く待たされて、マダム自身も、もう満を持し過ぎてて訳わからない精神状態だったんだけど、果たしてトートの姿で登場した井上芳雄は、これ以上無い満を持した感にあふれていた。歌の勢いが凄かったー。一曲一曲、ハンパない歌い上げ方だった。聞き惚れた。(これ観ちゃうとね、もうストプレなんかやらなくていいんじゃない?と思っちゃった。歌わない芝居、する必要があるの?そんなに歌えるのにーっ。ストプレやめちゃえ!←マダムの発作です。)井上芳雄は、普通の台詞から歌に行く時の段差がけっこうある人だとマダムは思っているんだけど、『エリザベート』は普通の台詞がほとんどなくて、歌だけでしょう?だから、始めから段差も無いし。つまり井上芳雄の良いところを全開に出来る役だってことね。
 
 演出のせいなのか、それともマダムが以前観ていたのが山口トートだったからそういう印象になったのか、エリザベートとトートの関係がぐっと「恋愛」に近づいてたよね。
 山口トートのときは黄泉の帝王だったものが、井上トートでは黄泉の黒王子になった。たとえば、山口トートが「最後のダンスは俺のもの」と歌っても、それは抽象的な言葉に聞こえてね。最後の最後には黄泉の国に君も来る運命だぞ、という意味に受け取れたの。
 でも井上トートが「最後のダンスは俺のもの」と歌う時、それは文字通りラストダンスは俺が取るぞ、という恋の宣言に聞こえて。凄く積極的にエリザベートを誘っていたし、迫っていたし、恋の駆け引きを楽しんでいるように見えたわ。「皇帝陛下と、貴女を取り合う」って、マジ、その通りだったー。
 そして、エリザベートやルドルフが苦しむ時、酷薄な眼差しで眼を見開いて、口の端でにやりとするところなんか、黒王子全開。井上芳雄の黒いところが見たいと願ってきたマダムの、願った通りのトートになってたの。はい、ビジュアルも申し分無く美しかったです!衣装も長い髪もよく似あって、指先の動きまで、計算されていたし。ドクトルをやってる時も、医者じゃなくてストーカーっぽく、いやらしかったし(もちろん褒め言葉)。気がつけば、そこにいる。人間離れした役がもう、ピッタリ!
 マダムが観た日、乗りに乗っている井上トートがいたの。花総エリザの出来が素晴らしかったので、相手として不足はない!と言っているように見えたわ。
 やっぱり死の誘惑は甘美じゃないと、エリザベートのドラマは成立しないのだと納得。歌声のみならず、姿形も動きも、ね。
 
 その3で、他の役者さんたちのことと、総括をするわ。

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コメント

17年前の宙組DVDで心奪われて以来、花總エリザを生で見ることを夢みながら、
それはかなわぬ夢だと疑わなかった退団後、
夢ってかなうこともあるんだと思う感慨が大きすぎて、
チケット買ったあとも意識的にその日を考えないようにしていたほど、
今回の舞台はひとつの夢でした。

そして、その夢が完璧+αのものだったら、もうなにをかいわんや。
マダムのお言葉に涙することでただただ満足。


気高く、強く、心の底も姿も、すべてがエリザベートである花總まり。
20代で演じたエリザは前半がより無邪気、手を差し延べたくなる幼さがあって、
「私だけに」を涙と鼻水、必死で歌う彼女に震えました。
今回はベースがもうちょっと強い。エリザベートご本人により近くなったかもしれない。

そして、
井上トートは美しかったですね〜魔物でしたね〜、やられました!
(私にとって久々のアイドル降臨)
一路×内野のときのルドルフを見て「なんて素敵な声だ」と思った井上くん。
やられすぎて、これは彼のストプレも見なけりゃと思ったのですが、
マダムは逆ですか。(笑)

そして、そして、
「すべてはトップ男役のために」つくられる舞台を見てきた元ヅカファンとしては、
カーテンコール……最後に花ちゃんが出てきた。主役は花ちゃんなんだ(涙、涙)。
とうとう彼女が立つべきところに立った。
あれやこれやといらぬ思いまで混ざる心身ともに激しく揺さぶられ続けた1日でありました。

hikaruさま。
花総×井上の組み合わせを選べてよかったです。私はこの1回しか見ないので。でもこれで十分。凄く満足しました。
井上君のストプレはですね、別に悪くはないですが、素晴らしい歌があるんだから、歌った方が良いよ〜と素直に思ったんです。
だって、もったいないではないですか! 歌わないの。

今回エリザは7月上旬に井上×蘭乃で観て、8月お盆明けに井上×花總を観に行く予定です。
そうですか〜花總さんはそこまで素晴らしかったですか!
楽しみです〜(^ ^)
蘭乃さんについてはあえてここでは何も申しませんがダブルキャストにしたのならもう少しバランスってものが、、、(>_<)
井上トートは素晴らしかったです。
念願叶っての役で力の入り方も違ってましたよね。
私も今回初めて「この話って恋愛ものだったんだ⁉︎」と気が付きました、、、最後にシシィがトートにガバッと抱きついた時、「そんなに好きだったの⁉︎」って。
相手役で演技も変わってくるでしょうから井上トートの本気度もアップするかなあ〜なんて(^^;;
その頃またコメントさせて下さい。

ホワイトさま。
私も観ていないのでなんともいえないですが、やはりダブルキャストは、同等の力が欲しいですよね。観る人は好みで選べるように。
花総エリザ、よかったですよ〜。観たら、どうぞまたいらして下さい。

あれ、意外。
マダムが井上トートを手放しで褒めてる。
そっか、そっかー。

いや、芳雄君個人としては、もう全っ然、問題はないと思います。
今これだけのトートができる人は日本には彼しかいないでしょう。
だけど、マダムのことだから、ちょっと辛口が混じるかな〜と思ってました。

いろいろ言いたいことはあるけれど、長くなっちゃうから、ここでは控えておきます。
でもひとつだけ。
『エリザベート』は、恋愛ものじゃありません。
トートは「死神」じゃなくて「死」です。
日本版は、そこらへんが俗っぽくなっているのが、残念なんですよねー。

ぷらむさま。
あれ、そうなの?
じゃあ、山口トートのときのほうが、正しいあり方なのでしょうか?
今回の演出は、完全に恋愛バージョンですよね。
それは違うとしたら、演出、ダメですよね。

マダム、あ、そうか、そうなっちゃうか(笑)。
でも、そう言えなくもない。

えと、もともとはヨーロッパの死生観がもとになっているので、「死」を擬人化していて、「死」に憧れるエリザベートの幻想、もしくは彼女の影、がトートなはずなんですね。恋愛っちゃ、恋愛なんだけども。抽象的な話です。日本版は、そうした死生観になじみのない日本人にわかりやすくするために、小池さんが相当に見せ方を変えてます。宝塚版はもっと甘々ですが。

ぷらむさま。
井上君に疑問に思ったことが、実は一つありました。でも、書くべきかどうか迷ったの。
それは、余裕があり過ぎるってことです。
満を持した感に満ちていたっていうのは、逆に言えば、必死さは感じられないってことで。
初めての役なのに、必死にならなきゃできないかも!と思うことは無かったのかな・・・と疑問です。(もちろんトートが必死そうだとダメなんで、そういうことじゃないです。)
でもそれは、彼が追い込まれるような要求が演出から出なかった、ということかな、と思いましたので、それは彼のせいじゃないし・・・。
だから、私の疑問って、作品への疑問でもないし、どうももやもやして、言葉にはならなかったんですよね。

  マダム様

 横から失礼します。

 芳雄トートも始めのころは全く余裕がありませんでした。
体の動きは堅いし、歌さえもプレビューからほぼ完ぺきな花總エリザベートに遠慮というか負けていました。高音部分が出し切れず歌い方を変えたり・・・・
プレビューのカーテンコールではエスコートの手の出し方を戸惑ったり。
ファンとしてはある意味新鮮で、萌えどころですが・・・・


 私の知る限り、誕生日7/6のファンクラブ貸切公演以降は、いつもの井上芳雄になったと思います。

 生意気を承知で言えば、キャスト全体が花總エリザベートに追い付いてきた良い時に観劇なさったかと思います。

 あっ!でも、必死だったかどうかは確かにわかりませんね。
失礼しました。

momoママさま。
そうなんですね、井上君でもあがることはある、と。
私としては、蜷川演出の「冬眠する熊がどうしたこうした」みたいな題名の芝居の時のように、自分には想像を絶する要求をされた方が、井上君が自分でも知らないようなエネルギーが出るんじゃないかなー、と勝手に思っているんです。
きっと、そういう混乱は、今回は井上君の中には起きなかったんだな、と思いました。

マダムこんばんは。
今回は地方公演がないため、先日上京して「エリザベート」見てきました。もともとミュージカル派ではないため、過去に何度も見る機会はあったものの、今回が全くの初見。花總まりさんのエリザベート、芳雄さんのトート、育三郎さんのルキーニでした。そのようなまっさら状態で見ていて、花總さんのエリザベートの造形が完璧で驚きでした。何となくトート目当てだったのですが、女の一生の話だったかと遅まきながら視点を変えた上で腰を据えて見ておりました。姑、息子、夫との関係、自分の意思を通そうとすると生まれてしまう軋轢。どこか心に満たされないものを抱えて、体操してみたり放浪してみたり。時代や環境が違っても何と現代と重なることでしょう。
芳雄さんは、ご自身のデビュー10周年コンサートで映像も用意された上でトートを歌っておられたし、この役に相当思い入れがあったんでしょうね(ちなみに、大阪公演ではゲストが浦井くんで、2人で「やみがひろーがーるー♪」を2回歌って下さった記憶がある)。こちらも気迫漲っていて素晴らしかった。そして黄泉の帝王としてノーブルできれいすぎるくらいなので、むしろもっと胡散臭くてもいいくらいかな~と思いました。
拙い感想で失礼しました。

まるみさま。
あー、なんだか、素直に同意してくださって、ホッとしております。
私もぜんぜんミュージカル派ではなく、でも、このミュージカルだけは好きと断言できるんですね。
井上君の良さも、かなり花総さんに引き出された感じがします。それほど、花総さんのエリザはよかったですね。

『エリザベート』を見てから1週間立ちますが(マダムと同じ回でした)、未だに幸せな気分に包まれています。

「その3」でも皆さん、熱く語っていて、『エリザベート』は特別なミュージカルなのだと再認識しました。

私にとっても、武道館でStarsの「闇が広がる」を聴いて以来、待ちに待った井上トートで、舞台で黄泉の帝王として生きている姿を見ているだけで胸が熱くなりました。ラストシーンで、エリザベートがトートの胸に飛び込んだ時の二人の表情を見て恋が成就したと感じると同時に、エリザベートは還るべき場所に還ったのだと思いました。「おかえり、小さな雪のひとひら」という、小説『雪のひとひら』の最後の一節を思い出しました。

28日は、主役の花總まりさんだけでなく、全キャストが実力を出し切ったかのような充実した舞台を見せてくれました。至福のひとときでした。

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