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スピーディな、お伽噺『ペリクリーズ』

 ハードな2月を締めくくるダブルヘッダー第1弾。2月28日(土)マチネ、本多劇場。

『ペリクリーズ』
作/シェイクスピア 訳/小田島雄志
演出/鵜山仁
出演 加藤健一 山崎清介 畠中洋 福井貴一 加藤義宗
   土屋良太 坂本岳大 田代隆秀 加藤忍 那須佐代子 矢代朝子

 2時間10分の『ペリクリーズ』って、どんな風だろう?って楽しみにしてたんだけど、ホントに楽しかったの。
 本をカットするだけなら誰でも出来るけど、布数枚を上げ下げするだけで瞬時に、陸地から船の上、さらには別の国になり、時もすぐ流れ、役者がマントを脱いだら違う登場人物になって、凄くスピーディに話が運ばれて行く。しかも、わかりやすい。演出は鵜山仁で、手法としては昨年観た文学座の『尺には尺を』と同じような感じなのだけれど、役者の輝きがかなり違った。魅せるっていうのは、こういうことなのかしら。

 ツロの領主ペリクリーズ(加藤健一)は、アンタイオケの王女に結婚を申し込むが、王女と王が近親相姦の関係にあることを見破って、逃亡。命を狙われ、自国を重臣に任せて、旅に出る。船が座礁したペンタポリスで王女セーザと恋に落ち、結婚(早!)。アンタイオケの王が死んで暗殺の危険が無くなると、ペリクリーズは身重の妻と船に乗って、帰国しようとする。が、海上で嵐に遭い、嵐の中、妻は出産し、産後すぐ亡くなる。妻のなきがらを箱に入れて海に流し、ペリクリーズは命からがらクリオンに着く。クリオンの王と妃に赤ん坊を託し、ペリクリーズはやっとの思いでひとり帰国する。そして時は流れて20年が経ち(早!)、20歳の美しい娘となったマリーナは美しさのせいで妬まれて殺されかけ、女郎屋に売られてしまう。一方、死んだはずのセーザは箱から発見されて息を吹き返し、修道院で20年、祈りを捧げていた。年老いたペリクリーズは果たして、妻や娘と再会できるのか? 
 というような物語。結婚の申し込み、謎掛け、近親相姦、旅、嵐、死と再生、親子の生き別れと巡り会い。歌あり踊りあり。いろんな要素てんこ盛り。これを2時間10分で、楽しく見せて伝えきるって、凄いこと。
 
 いちばん素晴らしかったのは、物語の案内役ガワーを演じた福井貴一。穏やかでありながら、滑舌よくかつ、流れるように語るの。もう、あまりにも上手いので、うっとり聞き惚れた。すぐ物語に引き込まれたし、場所がくるくる変わり時がどんどん流れるのにもちゃんとついていけるし。マダムはこれまであまり気にかけたことがなかった役者だけど、要チェックよ!
 そして勿論、加藤健一を始めとして、ほぼ全員が手だれの役者で、台詞も、演技の意味も、理解できないところがなくて、安心して客席で没頭できたの。そうだな、あと1人名を挙げるとしたら、那須佐代子。新国立の『リチャード三世』以来、注目の女優だけど、今回の女郎屋の女将は出色の出来よ〜。ひどい女なのに、大ファンになっちゃったわー。
 
 加藤健一がシェイクスピアをやるのは、30年ぶり2度目なのだそう。確かにシェイクスピアはどの本も長いし、大人数が必要だから、加藤健一事務所のラインナップとしては選択しにくかったのかも。
 でも、それだけじゃないのかも。
 加藤健一は、マダムが知っている日本の役者のなかで、いちばん演技の上手い人。出来ない役などない、と思っていた。でも、今回彼のペリクリーズは、ほんの少し照れのようなものがあって、吃驚したの。もしかしたら、王様とか貴族とかを演じるのが苦手なのかも?! 確かにこれまでの役柄を思い浮かべてみると、王様の役ってあまりやってないかもね。こりゃ、発見だわ。
 だとしたら、これを機に、がんがん挑戦して、新境地切り開いてほしいわ。だって、途中で踊った騎士の踊り(?)がメチャクチャ魅力的だったの。だから加えて、恋の歌とかも歌ってほしかったー。歌がべらぼうに上手いのは「マイウェイ」聞いた昔から知ってるんだから。ミュージカルだって出来ちゃう実力なの、知ってるんだから!
 なので、またシェイクスピアをやってもらいたい。『テンペスト』あたりを希望します。
 

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コメント

実は出演されている山崎さんとお友達なのでお誘いを受けていたのですが、さすがにこの時期東京までは難しくていけなかったのです。なので、マダムの感想を聞かせていただいて嬉しいです♪
鵜山さんの演出だし、加藤健一さんだし、関西で公演があれば絶対見たかったのですが…。
福井さんは、去年の「子供のためのシェークスピア」に出演されていたのですが、今年は出演されないのです。残念。代わりに(?)、AUNの谷畑さんが出演されるようなので、久々だから楽しみにしています。

シェークスピアの作品は、ほんと、ご都合主義な部分がたくさんあるので、そこを嫌がる方も多いですが、私はそこもまた嫌いではないのです。

マダムのお薦めに従い、怒涛の2月の締めくくりに行きました。昨日の三姉妹が想定以上に良かったので心配だったけど、とても楽しかった。
ベリクリーズは初めてで、こんなに荒唐無稽だったのかと呆れたけど、手練れの役者たちに身をまかせ物語に没頭し、娘とベリクリーズの再会思わずウルっとして~観劇後幸せになる芝居も良いですね。

ちかさま。
うん、福井さん、要チェックですねえ。穏やかな深みのある上手さ。
好みです。
山崎さんも八面六臂の活躍でした。
確かにシェイクスピアはご都合主義がいっぱいですけど、元のホンが歌舞伎より古いので、そんなもんだと思っています。私も、そういうところも含めて、好きです。
今年の子供のためのシェイクスピア、ロミジュリですね。これも楽しみ。
 
かおりママさま。
凄い。思い立って、楽日に行けちゃったなんて。
私、三人姉妹、土曜日のソワレに行ったんですけど、もしや、ご一緒してましたか?

カトケン・シェイクスピア劇場、楽しかったですよね!!
私は初日から3日目に見たのですが、チームワークも良く、すでに完成度の高い舞台でした。福井さんのリードがうまいので、『ペリクリーズ』のような荒唐無稽な物語はこのくらいスピーディーな方が、見ている方も気持ちよく舞台に引き込まれてよいかもしれないと思いました。鵜山さんの演出、好きです。第2弾もぜひ!

一番感じたのは、どの役者さんも台詞が明瞭なこと!シンプルだけど、大事なこと。皆さん、滑舌が良いので、台詞の聞き逃しもなく、すっと頭と心に入ってくる。こんなにストレスのない観劇は最近少ないかも(と思ったら、『三人姉妹』もそうでした)。

福井さん、大活躍でしたよね!『二都物語』でも良い味を出していましたが、これほどストレートプレイも、とは知りませんでした。これからは福井さんのお名前も探してしまいそうです。秋は新国立の『パッション』ですね。

「マイウエェイ」って『熱海殺人事件』ですか?
・・・・・・・・・・・と一言つぶやいて、コソコソと去る。

ぷらむさま!
もちろんですとも。知る人ぞ知る。

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