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新星現る『ヘンリー四世』 その1

 解禁になったとたん、怒濤のスケジュール。さいたま芸術劇場、4月15日(月)マチネ。

『ヘンリー四世』
作・シェイクスピア
訳・松岡和子 構成・河合祥一郎
演出・蜷川幸雄
出演 吉田鋼太郎 松坂桃李 木場勝己
   星智也 辻萬長 立石凉子 ほか

 楽しかった〜っ! 凄いわ、蜷川幸雄と吉田鋼太郎とシェイクスピア。そしてそして、素敵だったよー、松坂桃李。
 本来一部と二部のふたつの芝居なのをくっつけて一本にしてるから、なんと4時間半。でもね、全然長く感じないのよ、楽しいし、ドキドキするし、ラストはちょっと物悲しいし。
 行くかどうか、迷ってる方は是非、行ってほしい。マダムのお勧め! 歴史劇だからって、予習は要らない。松坂桃李人気でチケットは完売かな? でも、当日券に並ぶ価値があるよ、ホントに。
 このあとは思いっきり、ネタバレよ〜。
 
 
 
 幕が開くと、ほの暗い舞台のずっと奥まで回廊が続いていて、遠くからハル王子とフォルスタッフが走ってくる。この登場がまず息をのむ。
 フォルスタッフが吉田鋼太郎だと事前に知っていなければ、誰だか分からなかったわ、きっと。それほどフォルスタッフは膨らんでいた。太ってるとか、巨漢だとかいう言葉を通り越して、あれは大玉よ。運動会で転がす、あの大玉。フォルスタッフが転がるように走ってくると、もうそれだけで可笑しい。
 ハル王子も、松坂桃李ではなくて、登場した瞬間からハル王子なの。蜷川演出お約束の上半身裸がいつ出るかしら?ってこっちが考える暇もなく、いきなり服を脱ぎながら登場。酔っぱらって、ふざけてて、服を脱いじゃって、地面に倒れ込む。同じくらい酔っぱらってふらふらのフォルスタッフが、服を拾ってハルに着せてやると、純白の美しい(でも、やんちゃな)王子様が出来上がり。この間、二人は口汚くののしりあってるんだけど、メチャクチャ楽しくてたまらない様子なの。羨ましくなるくらい、仲がよさそうで。あっという間に、芝居の世界に引き込まれた。
 いつも蜷川演出の幕開きは、観客を驚かすような舞台効果があるんだけれど、今回は二人の仲のよさの渦にすっと巻き込まれるの。それが気持ちいい。
 そこからあとは、演出の術中にハマった感じ。フォルスタッフが陣取るワイワイがやがやした民衆の世界と、王(ヘンリー四世、王子の父)が君臨している王侯貴族の世界が、がっぷり四つに組んで展開するんだけれど、実にわかりやすくて、理解しようという努力がほとんど要らないのよ。衣装がはっきり色分けされているし、王様役の木場勝己を始めとして、たかお鷹、辻萬長、立石凉子という、いつもの蜷川組のベテランがしっかりと脇を固めていて、本筋も脇筋も見えやすく捌いてくれる。
 ハル王子のライバル、ホットスパー役の星智也も、姿形からわかりやすく敵役におさまっていたし、とにかく脇役のひとりひとりが場面に応じて隅々まで行き届いた演技なのよ。だからよくわかるの。やっぱり芝居って、主役級の人たちだけでは絶対に成り立たないものなんだ、ってしみじみ感じてしまうわ(ここでチラッと先週観た芝居のことを思い出してしまう・・・比べるのはよくないけど)。
 
 以前にも、今、フォルスタッフを演れる人は吉田鋼太郎しかいないと、マダムは言ったけれど、観たあとはもう、心の奥底からそう思う。
 普通にやるだけでも、4時間半のほとんど出ずっぱりで大変なのに、体重は本来の自分の2倍かな?3倍かな? 車幅感覚は本来の7倍くらいかしら? ハンパない重労働なんだけれど、持ち前の膨大なエネルギーで突破する。そして最後、登場の時に現れたと同じ舞台の一番奥へと引き立てられていく時も、大玉が転がっていくようで・・・笑いながらも、王子との切ない別れが胸に迫る幕切れだった。
 
 さあ、その2ではお待たせの、松坂桃李について、だー!

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コメント

Viola-sama
『ヘンリー四世』、本当に楽しかったですね!大満足です。
吉田フォルスタッフと松坂ハル、見事に息があっていましたね。

初日から2日目に見たのですが、すごい完成度です。私も、Violaさんが書かれているように、主役から小さな役の方々まで、全員の気持ちが1つになっているのを感じました。誰もが物語の時間の中で生きていると思いました。

良いお芝居を見ると、4時間半だろうと何だろうと疲れなんか感じなくて、本当に幸せな気分になりますね。

今回の舞台は、蜷川さんの最近の演出の中でも最高でした。大病から快癒されて間もないのに、パワフルな一方で、より研ぎ澄まされて端正な演出に魅了されました。

観劇前は、原作を全然読んでいなかったのでついていけるか少し心配していましたが、そんな心配は吹っ飛んで、目の前で繰り広げられる世界に思う存分浸り、幸せな気分は最後まで変わりませんでした(ラストはほろ苦く、せつなかったですが)。

このお芝居、ぜひストラトフォードで見たいです!!

「その2」、楽しみにしています。

あ、そこ、引っ張るんだ−。

Mickeyさま。
ホントに楽しかったですねー。
だいぶ前に小田嶋訳を読んだのですが、そのとき腑に落ちなかったことが、
全部、ちゃんと納得しました。
もう一度観たいくらいですね?
 
 
ぷらむさまー。
引っぱったわりに、我慢できず、もうアップしちゃいました。
もうちょっと気をもたせたらよかったかしら。

ブログ参考になります!
吉田さん、良かったですねー。長さを感じませんでした。
前日、歌舞伎座で半日だったんで、さすがに疲れたけど。はは。

COCO2さま、こんにちは。
『ヘンリー四世』、シェイクスピアだけど、歌舞伎にそっくりですね。
話といい、長さといい・・・。
歌舞伎、沢山、見てらっしゃるんですね、羨ましい!

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