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新星現る『ヘンリー四世』 その2

 昨年『ヘンリー四世』の配役が発表になった時、マダムは正直なところ困惑したの。
 だって、松坂桃李でしょ? 梅ちゃん先生のダンナでしょ? いきなりシェイクスピアの主役って・・・だいじょうぶかなあって心配になったのよ。
 もちろん、イケメン度が十分なのは注目していましたけれども・・・シェイクスピアの台詞を観客にちゃんと届けるのは並大抵のことではないし。
 ところがところが。マダム、まさかの脱帽よー、化けたね、松坂桃李。素晴らしい!
 口跡がきれいで、声もよく通るし。
 立ち姿も真っ直ぐで美しくて、イマドキの若者にありがちな斜に構えた感じが無いし。
 なにより、相手役の台詞を聞いて、ひとつひとつに反応して演技している。それが自然に出来ている! 当たり前のようだけれど、新人だと出来ない人が多いのよ、自分の台詞を喋るのでいっぱいいっぱいになっちゃうから。
 勢いで喋る部分だけじゃなくて、じっくり聞かせる台詞も、ひと言ひと言思いをちゃんと乗せて、こちらに届けてくれている。
 堂々のシェイクスピア・デビューだわ。新星、現る。
 
 特にいいシーンを挙げるとすれば。
 戦場でフォルスタッフの遺体を見つけて、悲しみをこらえて語る場面。
 それと、父王が亡くなったと思い込み、王冠に語りかける場面。
 フォルスタッフも王も、実は死んでなくて、ハルは自分の本心を相手に知られてしまうんだけど、この二つのシーンはどちらも、マダムを涙ぐませるくらい思いが籠っていたよ。フォルスタッフに対しては肉親のような悲しみをたたえていたし、王に対しては、父を無くした悲しみとともに、王を継ぐものとしての孤独な覚悟をにじませたし。
 またそれぞれその後がいいんだな。フォルスタッフは死んだふりから起き上がって、ちゃっかり他人の手柄を横取りしようとする。フォルスタッフの庶民感覚からすれば、名誉なんてものに命を捧げるなんてくだらないことだから。一方、王は死を目前にハルと和解して、跡継ぎとしてハルを認める。そうすることで、やっと死ねるのね。
 うーん、やっぱり凄いな、シェイクスピア。
 松坂桃李を褒めてるうちに、シェイクスピアの凄さに改めて唸るマダム。
 
 よかったねえ、いいホンといい演出家と最高の共演者に恵まれてデビューできて。是非、また松坂桃李でシェイクスピアを観たいです〜。
 今度は、ロミジュリかな。
 蜷川幸雄には100歳までやっていただかないと。
 
 

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コメント

Viola-san
第2弾も頷きながら読みました。

松坂ハル、期待以上の素晴らしさでしたね!初舞台であれほど自然に台詞を届けることができるのはやはり才能でしょう。

『ヘンリー四世』で、ハル王子が為政者として成長していくのを、松坂君は見事に表現していました。物語の始まりには無邪気な少年だったのに、マントと王冠を身にまとった時は青年の表情でしたね。

青春との惜別を端的にあらわした蜷川さんの演出も好きでした。

Viola-sanのコメントもいつもより熱いように感じます。

Mickeyさま。
いやあ、想定外(と言っては失礼ですが)の出来の良さに、
褒めちぎってしまいました。
褒められて伸びるタイプだといいのですが、桃李君。
 
私の口調が熱いとすれば、禁演明けのせいでしょう。
のどがカラカラのところにビールが注ぎ込まれたようなものですね。

マダム・ヴァイオラさま
お久しぶりです。

4月17日私も『ヘンリー四世』観てきました。
吉田鋼太郎さんのフォルスタッフあの着ぐるみ?を身に付けていながらの動きの軽快さに脱帽!
そしてハル王子松坂桃李の立ち姿の美しさ!白い衣装の映えること。
私も実は松坂桃李には期待しないで観に行きました。ドラマは観てて結構好きでしたが舞台だし、ましてやシェイクスピアだもの。どうなのよ?と思いながら観ましたが最初から目が奪われっぱなし。台詞もキチンと聞こえて意味もわかるしゃべり方でした。

ランカスター公ジョン(ハル王子の弟)役の矢野聖人が怪我の為、代役を立てていた様ですが17日から本人が出演しました。私はそれを知らなかったのですが、ジョン役が声はよく出ていたけれどあまり表情がなく緊張しているのが伝わってきていたので、カーテンコールで鋼太郎さんが前に押し出していたのでわかりました。

ヴァイオラさまが観たときは代役のネクストシアターの方と思いますが、どんな感じでしたか?

近頃少し蜷川シェイクスピアに飽きがきて暫く観てなかったけれど今回の演出は良かったです。

ルシアーナさま、こんにちは。
そうなんです。私も、「ヘンリー六世」やら「シンベリン」やら、
楽しい部分もありつつ、全体としてはちょっとマンネリ感があって、
今回は吉田フォルスタッフを観に行ったんです。
でも、芝居全体が凄く良く出来ていて、蜷川演出に唸りました。
桃李君にも惚れましたし。
 
ランカスター公ジョン、私が観た時はネクストシアターの白川大くんでした。
ちょっと咬んでる瞬間もあったけど、ほぼ遜色無かったです。
初々しさが王子らしくて、さまになっていました。

はじめまして。
ヘンリー四世の劇評をつらつらと拝見していて、こちらに辿りつきました。
他の劇評も拝読して、マダム・ヴァイオラ様の舞台に対する深い洞察に感嘆!
熟読させて頂きました。
私も大学1年の4月に風間杜夫主演の「熱海殺人事件」を見て衝撃を受け、そのまま学生劇団に入ってしまったという演劇少女(?)でした、かって。

前置きが長くなってしまいました。
ヘンリー四世は、半分は松坂桃李君目当てで観劇しました、白状すると。
ですから、マダムに褒めて頂くのは嬉しいのですが、私としては桃李君の実力不足の
ほうが気になってしまいました。息子に厳しくなる母親の心境でしょうか(苦笑)。

というか、改めて他の役者さんたちが上手すぎる!
口の形が正しいから囁くような台詞も後部席まで届く。お腹から声を出しているから、
大きな声を出しても声が割れない。
プロの役者さんたちの正しい発声に感動しました。
最近は劇団新感線の舞台しか観てなかったので、少し忘れてましたね(汗)

松坂君は来春にも中村勘九郎さんと「真田十勇士」で共演されるとのこと、勘九郎さんは大好きな俳優さんなので、彼に圧倒されないよう、毎日コツコツと発声の練習から始めて欲しいです。
「ヘンリー四世」の舞台を観るのは初めてだったのですが、蜷川さんの才能を思い知らされました。
はじめましてで、長文を、失礼致しました。楽しく読ませて頂きました。

きゅうさま、初めまして。
風間くわえ煙草伝兵衛に感電したお仲間ですね?
30年のときを経て、名乗りあえて光栄です〜。
 
松坂桃李はですね、どれくらい期待していたかによって、
感じ方は違うと思います。
私は半信半疑(?)で観に行ったので、予想外の頑張りに感心しました。
かなり舞台に向いている、と思いました。
素直なのがいいんですよ〜。
やわな芝居じゃなくて、今回のような挑戦を続けてほしいです。
 
また来て下さいね、是非。

今日(日付は変わりましたが)、大阪で「ヘンリー4世」みてきました。
おっしゃるとおり、私も一番不安だったのが、ハル王子…だったので、今回の松坂くんは期待以上によかったと思いました。
モノローグには、やや物足りなさを感じたのですが、他のキャストの方との言葉のキャッチボールなどはとてもよかったし、何より立ち姿と、笑顔がいいですね。そして、とても素直な感じがしました。鋼太郎さんも、とても可愛がられている感じでしたね。
私の隣は「真田十勇士」の演出をされる堤さんでしたが、とても楽しそうにご覧になってましたので、そちらも楽しみです。
あ、松坂くんの初舞台は、これではなく、2年ほど前の「銀河英雄伝説」だそうです。
もっとも、私は見ていないので、今回が、舞台の上の彼の初見でした。

でも、今回の主役は、やっぱり、鋼太郎さんのフォルスタッフだったように思います。
素晴らしかったです!それしかいえないほどによかったです!

ちかさま、こんにちは。
大阪公演に行かれたとのこと。
ここまでの長い道のり、私は吉田鋼太郎さんの体力を陰ながら心配しておりました(余計なお世話ですが)ので、素晴らしさが持続されていることをお聞きできて、嬉しいです。
ほんと。そうなんです。これはフォルスタッフの物語。
今、フォルスタッフをやれる人は鋼太郎さんしかいないです!
松坂君は素敵でしたが、ハル王子なら他にもやれる人はたくさんいます。
小栗旬君でも、藤原君でも、小出恵介くんでも、やれたでしょう。
でもフォルスタッフは鋼太郎さんしかいない。
観られて、しあわせでしたねー、お互いに。

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