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お芝居は誰のため? 『黙阿弥オペラ』

 まだ『ザ・キャラクター』について腑に落ちないでいるうちに、次の芝居の日がやってきた。紀伊國屋サザンシアター、7月25日マチネ。

井上ひさし追悼公演『黙阿弥オペラ』
 作・井上ひさし 演出・栗山民也
 出演 藤原竜也 吉田鋼太郎 熊谷真実
    北村有起哉 松田洋治 ほか

 『ムサシ』をニューヨークで上演して一週間で、五郎蔵と黙阿弥に変化してる藤原竜也と吉田鋼太郎って、凄いと思う。もちろん芝居を観てる最中は、そんなこと忘れてたんだけど。どちらも『ムサシ』と真逆に近い性格の人物。五郎蔵は身が軽く、行動も軽く、頭も軽い。黙阿弥は動きが鈍く、行動は遅く、ひたすら考える内面的な人。
 藤原竜也がメチャクチャ楽しそうに演じていた。のびのびしてた。もしかして、本人の性格にとても近いところで演じてる?と、見ていてついニヤニヤしてしまう程。
 そして黙阿弥の吉田鋼太郎。ン十年観続けてるマダムでも、こんなふうに静かに内側へ内側へ悩む役で見るのは初めて。新しい吉田鋼太郎を見た、と思ったわ。役の幅がまた広がっていく。素敵だ。

 井上ひさしが、予定していた新作を書けないとわかって自ら選んで逝った『黙阿弥オペラ』。何故この作品を最後に選んだのか、観たあとに、しみじみとわかるような気がしたの。井上ひさし自身が「この芝居には、今の時代のことすべてが詰まっている」と評した、本当にその通りなのよ。
 今を考えた時、明治維新あたりのいろんな無理がたたって、きしみをあげている。そのことを、難解でなく、押し付けられることなく、楽しみながら、観終わってからちゃんと受け取ることが出来る。こまつ座の芝居は皆、同じコンセプトで作られてきたと思うけれど、マダムが観た中でもバランスのとてもいい作品だったわ。
 黙阿弥がオペラを書くことを求められて言う台詞が感慨深いの。「今わたしがオペラを書いたとして、それを喜んで見てくれるお客さんは何処にいるんだい? そんなものを待っていてくれるお客は本当にいるのかい?」
 政府の方針に従って芝居を書くなんて、彼には出来ない。なぜって、彼は観客に喜んでもらうために芝居を書いてきたし、それ以外に芝居を書く目的なんかないから。

 井上ひさしはテーマ性の強い劇作家ではあるけれど、テーマのために芝居を書いていたのではないと思う。基本は観客に面白いものを見せたいという一心で書いてる、とマダムは感じてきた。そこは黙阿弥の台詞と重なる。

 そしてそして、マダムの気持ちは再び、『ザ・キャラクター』に向かう。

 のだけれど、今は夏休み。
 今週は子供と出かけるので、この続きはまた8月に、ね。
 コメントを表示することもお返事することも、もしかしたら8月になっちゃうかもしれないので、ご了承くださいませ。

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コメント

マダムは生の舞台にしっかり足を運ばれていて、すごい。
これからマダムの嗅覚を頼りに、
重くなった腰に鞭入れしなければと気合をいれました。

マダムとは夏休みのタイミングが入れ違いですが、
楽しみにしています。よい夏休みを!

ヴァイオラ様
こんにちは。『黙阿弥オペラ』ご覧になったんですね。私も24日のソワレを見ました。

吉田鋼太郎さんも藤原竜也君も本当にすごい俳優さんですね。今までとは違う一面をみせてもらったようで、とても楽しかったです。一番感じたのは脚本の良さと、台詞の奥行きです。そして、カンパニーの皆さんの語る言葉がまっすぎに届いて来たこと。台詞を伝えるって、役者の基本だと思うのですが、案外そうではないことも事実です。今回はすべての台詞が生きて聞こえました。観劇の間、これほどワクワクしたのも久しぶりでした。

吉田さんも藤原君も、井上さんの戯曲との相性が良いように思います。藤原君の太宰で『人間合格』を見てみたくなったのはわたしだけでしょうか?

楽しい夏休みをお過ごしください。


hikaruさま、Mickeyさま。

お返事がすっかり遅くなり、申し訳ありませんでした!
夏休みしてきました。してきたんですが、戻ってきたら更に暑くなっていて・・・。
うっかり休むと、日常から倍返しされるんだな、としみじみ感じております。

マダム ヴァイオラさま

こんにちは。
今日、観てきました。「黙阿彌オペラ」


「台詞を感じながら観てる」と言えば通じるでしょうか、ずっとその状態での観劇でした。

最初のシーンや、
客に媚びない、が客に媚びなきゃならなくなっていると悔しがるおせんのシーン。
「この芝居には、今の時代のことすべてが詰まっている」という言葉を情報として頭にいれて観たのでひしひしとくるシーン数え切れず。

でも、やっぱり黙阿彌が「少なくとも見物衆のためではないですな。」から始まるあのシーン。
僕はあそこに一番心とらわれました。
そして1つ1つ長い台詞を、ひとつひとつ確実にこちらに感じさせてくれた吉田鋼太郎。拍手。
生で観て本当によかったです。

1人で観たのですが、このブログの存在のおかげで共有できない寂しさがないのです。本当に有難いことです。

Doshirouさま、こんばんは。

よかったでしょう?吉田鋼太郎の黙阿弥。
そしてナマで見ることの刺激と楽しさ。

そして、そう、芝居を観ると面白くても面白くなくても、誰かとしゃべりたい。一人で見るのは気楽だけど、あとで、しゃべりたいことが溜まって困る。感想のあれこれが頭の中をぐるぐる回ってしまう。それでマダムはブログ、書いてるんです。
Doshirouさんも、なにか見たらまた、是非是非コメントくださいませ。

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