小説読めない病と宮崎駿インタビュー
小説読めない病にかかっている。それもかなり重症。
子供の頃からの筋金入りの活字中毒者で、これまでかたっぱしからあらゆるものを読んできたんだけれど、子育てで自分の時間を奪われているうちに、少しずつ忍び寄ってきていたみたいでね。
それでも2、3年前までは、小川洋子、山田詠美、高村薫、篠田節子、桐野夏生などの女流作家の新作は必ず読んでたの。他の作家でも、友達の評判の良かったものを、ぽつぽつと読んでたんだけれど、去年くらいから、途中まで読んでやめてしまうことが多くなった。始めの2ページくらいでもう読めなくなることも。
最初は、作品の出来がよくないのかもと思ったけれど、こう続くと、これは作品の方のせいじゃなく自分のせいかな、と気がついた。この春くらいに、大好きな酒見賢一の『陋巷に在り』第3巻を読むのに一ヶ月もかかってしまい、第4巻を読む気力がもうないことがわかり、状況が決定的になった。
小説読めない病なんて言ったってね、命に関わるわけじゃなし、騒ぐようなことではないわよね。小説読むのが仕事なら、困っちゃうけどさ、別にマダムが小説読まなくても、誰も困らない。本人だって困らないはず、なんだけど。でも心から、いいじゃん、そんなの、とは思えずにいるのよ。なんて例えればいいか・・・長年食べてきたご飯を食べられなくなってしまったみたいな気持ち。別にうどんやスパゲティを食べればいい話だけど、ご飯を食べるのがあたりまえの生活だったのに・・・みたいな。
この病を治療できるのはもう、村上春樹の新作しかない。それで治らなかったら、ご飯なしで生きてく覚悟をしないといけないのかも。
そんなわけで目的なしでぼんやり眺めた本屋の店頭、雑誌『Cut』の美しい表紙に引き寄せられた。『ポニョ』の水没した村を古代魚が泳いでいるシーン。9月号のメインテーマは宮崎駿の独占インタビューだったの。
これがどーんと内容の濃いロングインタビューでね、夢中で一気に読んだ。小説読む時にはもうあり得ないような集中力が、普通に出るのね。なんでかしら・・・ま、それはいいとして。
インタビューは、宮崎駿が『ポニョ』で達した境地と、そこに至った理由を語っている。とてもここに要約できるようなものではないので、興味の在る方はぜひ『Cut』9月号を読んでみて。
読んでワクワクしたのはね、マダムがなんの予備知識もなく映画を見て、映画だけから感じた森羅万象と人間との境目の曖昧さについて、ちゃんと語られていたの!襲ってくる波も敵ではないこととか、村が水没してもそれは被害ではないこととかね。うわあ、私、わかってるじゃん、という自画自賛の気持ちもあるんだけどね、やっぱりそれを、台詞とかで説明するんじゃなくて、絵に語らせることができちゃうのが映画監督として素晴らしいよ。卓越した才能だー。
それにしてもこれだけのインタビューが出来たのは、インタビュアーの力が大きい。今回は『Cut』の発行元ロッキング・オンの社長渋谷陽一が自らインタビューしてる。対象への興味の持ち方が尋常でなく熱い。尊敬しつつ遠慮がない。だから口の堅い、というか重い相手の本音を引き出してるし、言うことにためらいがあったことでもついしゃべっちゃう宮崎駿。やっぱりインタビュアーが信頼を勝ち得るかどうかが大事なんだよね。対象と同じくらい勉強して考えていなければ、本音を語ってはもらえないのよ。(だから何度も言うけどNHKのディレクターは勉強不足。それはつまり熱がないってこと)
それにしても映画は終わったあとにもこういう記事が出て、楽しめるからいいよねー。芝居は宣伝に忙しくて、振り返って作品を語るみたいな記事はあまりないもの。
だからマダムが自分でやってる、みたいなところがあるんだけれどね。
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